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国立大学法人法改正が成立(1) 〜「日本が死んでいく」の意味

国立大学法人法改正が成立(2) 〜「法案可決までの異常なスピード感」
国立大学法人法改正が成立(3) 〜集英社オンライン記事へのヤフコメ
国立大学法人法改正が成立(4) 〜集英社オンライン記事2から
国立大学法人法改正が成立(5) 〜“稼げる大学法案”で学問の自由が失われる
国立大学法人法改正が成立(6) 〜小林鷹之氏の考え
国立大学法人法改正が成立(7) 〜戦前の国防教育を思い出す



大方の現役世代の方は忙しくて、なかなかブログを上げられないと思います。私もそうです。という割にはそれなりに更新していますが、それでも「これは言わないといけない重大事案」と思うことでも時間が取れず、遅れてしまいます。yahooニュースに出ると多くのコメントがつきますが、ニュースに対して一般の人たちがどう考えるのかを知る、大事なソースです(無論片寄りを感じることもありますが)。残念ながら時間が経つとそれらのコメントは抹消されてしまうので、調べようと思ったら消去されてしまっていて、残念な思いをすることが度々です。


 そのひとつが去年11月に成立した「国立大学法人法」の改正です。「女性自身」の記事を引用します。

「日本が死んでいくのを感じる」裏金問題の陰で国立大学法人法が成立…説明不足するなか強引採決で高まる批判


自民党が政治とカネの問題で揺れる裏で、臨時国会最終日に国立大学法人法の改正案が12月13日の参院本会議で可決、成立した。大規模な国立大学法人に運営方針の決定などを担う合議体の設置を義務付け、組織統治強化を図ることを柱とし、2024年10月に施行される。


具体的には、「管理運営の改善並びに教育研究体制の整備及び充実等を図るため」として、大規模な国立大学法人を「特定国立大学法人」に指定。学長と3人以上の委員でつくる事実上の最高意思決機関となる「運営方針会議」の設置を義務づけ、中期計画や予算・決算を決定する権限を与えることなどが盛り込まれている。会議は学長に運営改善を要求したり、学長選考に意見を述べるなどの強い権限を持つ。

この「運営方針会議」で学長以外の委員が、くせものなのです。

「“運営方針会議”の委員は文部科学相の承認が必要で、政府の介入が懸念されています。“文部科学相の委員承認は恣意的に拒否せず、大学の自主性に留意する”などの附帯決議はつきましたが、’20年の日本学術会議の6人の任命拒否問題は記憶に新しいです。いまだに任命拒否の理由については説明されておらず、学術界は政界に対し強い不信感を持っています。

つまり、附帯決議を反古にすればその委員は文科省の指名であると言っているも同然です。

そもそも、付帯決議に法的拘束力はなく、2004年に国立大学が法人化した際も、法人化した直後から”法人化前の公費投入額を十分に確保”という附帯決議は完全に無視。運営費交付金は削られ続け、今の国立大学の窮状を招いています。


これらは政権の意に沿った者が大学を支配し、政府の目指す“稼げる大学”に舵を切ることを可能にするもので、要は、”言うことを聞かないと金を出さないぞ”ともなりかねません。大学の自治や学問の自由を根底から脅かす可能性が危惧されています」(政治部記者)

これは本当にそう思います。国立大学の独法化で、法人化前の公費投入額を十分に確保はまったく無視され、この20年超で約2割削減されました。おかげで空席になった教員ポストも人件費不足で、すぐに後任を取れない状況が常態化しています。


しかも、この改正法案の上程する過程も、きわめて不自然です。

「もともと合議体は、10兆円の大学ファンドの支援を受ける“国際卓越研究大学”のみに必置とされていたもの。しかし、卓越大の候補が発表された直後の9月に対象が広がることになりました。なぜ他の大学まで広げたのか、岸田政権は全く説明していません。蓮舫議員の質疑で立法事実を拡大した経緯の公文書もないことが判明しています


立法事実も不明、審議もまともになされないまま、岸田政権は10月31日に閣議決定。国立大学協会の永田恭介会長でさえ、閣議決定の法文が出るまで法案の詳細を知らなかったそうですから、説明不足といわれるのも当然でしょう」(前出・政治部記者)

どう考えてもおかしい。「運営方針会議(=合議体)」には大学のすべてを決定する権限が与えられ、かつその委員の任命には文科相の承認が必要といった重大な改正が、経緯の説明もないままに進行する。これ、一体だれが発案し指揮をとった改正なのでしょうか?