インプラントが脳に刺さった 〜ヒェ〜ッ!
何気なくオンラインニュースを見ていたら、衝撃の話が。PenOnlineから引用します。
虫歯治療のため歯科医院を訪れた男性が、医師の勧めを受けてインプラント治療を選択。ところが、インプラントの部材が口蓋骨を突き破り、脳に刺さるトラブルに発展した。トルコで起きたトラブルだ。
被害に遭ったのは、40歳で2児の父親であるラマザン・イルマズさんだ。担当した医師は大きな問題ではないと考えていたが、レントゲンを見て青ざめたという。イギリス各紙がこのレントゲン写真を掲載しており、脳に刺さるインプラント体(あご骨に埋め込むためのネジ状の土台)の影がはっきりと写っている。緊急手術の末、男性は一命を取り留めた。
一体どういうこと?元記事から画像を見ました。するとこんな感じ。
いや、これはすごいな。左上顎よりはるか上に金属体が刺さってます。位置的に、上顎洞の上壁を内側に突き抜けており、眼窩内側から蝶形骨を突き破り脳底に達しています。もうちょっと正中寄りだったら、視神経も傷ついて大変なことになったと思いますが、これだけでも大変です。
術後ですが、前頭骨を切って頭蓋底にアプローチしたようで、お顔がすごい腫れています。
しかも取り出した金属体ですが、軸が異常に長い!なにこれ?装着する前に開ける孔の掘削に使用するテーパードリルの先端部のようにも見えますが、解像度が低くてよくわからない。
記事に戻ります。
経緯はこうだった。トルコ第4の都市・ブルサに住むイルマズさんは、虫歯治療のため私立の歯科医院を訪れた。そこでは、24年の経験を持つという口腔外科医が担当になったという。
英メトロ紙によると医師は、イルマズさんの骨格がデリケートなために歯が緩んできており、インプラント治療が必要だと告げた。
しかし、時間が経つにつれ雲行きは怪しくなった。治療中に医師は、使用していた器具に不具合があると歯科衛生士に話したという。その後も医師は手作業で処置を続け、本来の器具を使わずに手で「無理やり」インプラントを埋め込もうとした。
治療中、イルマズさんは「骨を砕くような音が聞こえる」と訴えたが、医師は「それが普通だ」と言って安心させた。
だが、ネジの切ってあるインプラント体を過剰な力でねじ込もうとした結果、イルマズさんの上あごの骨を貫通。頭蓋の中、脳と髄液のある部分にまで突き刺さった。イルマズさんは苦痛のあまり叫び声を上げた。
恐ろしいなあ。
英サン紙は、イルマズさんが悲鳴を上げたことで、医師はついにレントゲンを撮ったと報じている。
同紙はこの写真を掲載している。口腔から相当に離れた部分、目の奥にまで貫通したインプラント体の影が、はっきりと写っている。事態の深刻さに気づいた医師は青ざめ、イルマズさんを地元・ウルダ大学病院の救急科へと運んだ。
大学病院では専門医が集められ、緊急手術を決定。イルマズさんは手術室に入る前、「命の危険がある」との警告を受け、病院に駆けつけた子どもたちに最期の別れを告げた。幸運にもイルマズさんは手術を無事に終え、生還を果たしている。
英デイリーメールは、不手際のあった口腔外科医は、イルマズさんを大学病院に担ぎ込んだあと、彼を置き去りにして現場から逃げ出したと報じている。イルマズさんによるとこの医院は、治療代金の負担すら拒否した。現在、イルマズさんは法的措置を検討している。
それにしても、どうやったらこんなに深々と刺さるのか?私は歯科医でないのでいろいろ頭を捻ります。考えられるのは、左上顎臼歯のインプラント用のドリル掘削で力が入ってしまい、上顎洞下底を突き破ったばかりか、さらに上顎洞上底も突き破り眼窩横から頭蓋底に達したこと。そんなことあるのか?と思って検索すると、「山道歯科医院」のサイトの「私たちが上顎洞を扱う理由」にこんな記載と図がありました。引用します。
上の奥歯を失った方が「インプラントをしたい!」と決断された時、問題となってくるのが上顎洞の位置です。
生まれつきの解剖学的な問題もありますし、歯の感染や歯周病などで骨が吸収していた場合にも上顎洞と口腔の距離は近くなります。
距離が短い場合、インプラントを入れて固定する骨が足りず、そのままインプラントを入れてしまうと上顎洞に突き抜けてしまいます。
上顎骨は元々下顎骨と比べてすかすかした骨です。歯がなくなると菲薄化することがありますから、えいっ!とドリルに力が入ったら突き抜けそうですね。しかし、そこからさらに上部も突き抜けるところがすごい!トルコ・ブルサの口腔外科医は怪力の持ち主だったのでしょうか?
この事故で思い出すのは、1999年東京であった児童の割り箸突き刺さり事件です。続きます。
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