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日常考えたことを書きます

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職場への土産をねだるひと 〜やめてほしい

お中元を送る季節となりました。先週私もネットでお世話になった方々へ発注しました。ここのところの物価高で品物や送料もかなり高くなってきましたが、今のところ何とかまかなえる範囲です。届いた後での御礼とかのやり取りをする機会もあって、消息を知ることもできます。


 ただそういうのとは別に、職場のひとで「お中元お願いしますよ」とか「出張で何か買ってきてくださいね」というひとがいました。同じ職場といっても部署が違う、有り体にいえば事務方のひとです。確かにいろいろな雑用で事務方にお世話になっているのは事実で、私の日頃の態度で感謝の念が足りなかったのかと反省しました。実際、事務に行くと誰かが何処かで買ったかもらったと覚しきお菓子類がよくあります。私の気遣いが足りなかったのだと思い、出張時などに買ってきました。人数がそこそこ多いのでとても手で持って帰れず、宅急便で別送したこともありました。しかし、そのひとが居なくなって今は基本的にしなくなりました。そもそも「なぜ部署も違う私が?」という根本的な疑問があったのですが、それに加えて立場上上級職位にある者は義務として手土産を渡さないとならないのか?という点も疑問に感じるようになったからです。もし自分が相手の立場だったら、ちょっと恥ずかしくて冗談でもそういう発言はできません。「卑しい人」と他人から見られるのは死んでも嫌ですから。彼がいなくなって随分経ちますが、中元や歳暮を贈るシーズンになると毎回思い出してしまいます。医者の家庭出身だから、そんなに貧しい育ちではないはずなのですが。医師は他の医療職とくらべて給与がいいのは一般的に事実です。しかしながら教職を主とする医師はそんなに高給をいただくことはないです。そういうことを知らないので、医者だから稼いでいるだろうというやっかみもあったのかもしれませんね。


 似たようなことは他でもありました。例えば職場でなにかカンパする時、普通はいくらと決めて回収します。そういう時に私は言われた額を払いますが、あるとき集めにきたひとに「あら、もっと出していただけないのですか?」と言われてびっくりしたことがあります。たとえ心の内にそう思ったとしても、声に出して相手に言うか?「あんた、ケチだね!」と露骨に言われた気分になり、不快になりました。私がそういうことをするのは学生を相手にする時です。例えば謝恩会とかあって教員は「ご招待」となることがよくありますが、そういう時は相場と思われる額の倍を「御祝い」として包んで渡します。あとは職場のお掃除などをやっていただいている外部の方々には、盆暮れの挨拶は欠かしません。安い給与で面倒なこともいつも快くやっていただいていると感謝の念に絶えないからです。しかし、職場の中は給与が違っても平等な立場というのが私の信念です。時々感謝の意味で外から贈り物をいただくことがありますが、そういう時は相手に御礼を述べ、あとで事務方にそのままお渡ししています。これは普通でしょう。あ、そうか。私は他とくらべてそういう機会が少ないから、「外部評価が低い奴」と蔑まれていたのか。


 以前読んだ池波正太郎の本に「旅館やレストランでお世話になる掛かりのひとには必ずポチ袋で心付けを渡している」と書いてありました。池波正太郎は「それによって相手のサービスも自然と心がこもったものになる」と書いています。まさかそれを期待して渡すわけでないと思いますが、心情としてよくわかります。実は私の両親もそういう場面では必ずそういうことをするひとです。習慣として見ているので、私もそれは自然と身についています。しかし、これに関して驚いたことがありました。今年閉館した駿河台の「山の上ホテル」です。職場の宴会を山の上ホテルで開くことになり、担当の掛かりの方と何度も打合せをしました。宴会は盛会のうちに終わり、出席した方々も満足されました。担当いただいた掛かりの方には、労いのつもりで本当に気持ちながらの心付けを渡しました。ところがその一週間あと、山の上ホテルからクッキーが一箱届きました。差出人の名前はなかったですが間違いなく掛かりの方からと思います。あくまでも仕事としてサービスをおこなっているという毅然としたプロの矜持を感じました。山の上ホテルは小さいながら本当に格調が高いホテルで、なくなってしまったのはつくづく惜しまれます。


 私の家は普通のサラリーマン家庭で、そんなにお金があるわけでありません。しかし、出すべきお金は惜しまず出してもらってきました。そういう習慣はずっと続くものですが、同じような立場でも随分と違う人もおります。国立大の医学部は学費が安くお金持ちの子弟でなくても行けるところですが、驚くほど貧しい人物もいます。貧しいというのは金銭ではない。品行のことです。お育ちがきわめて悪いけれど頭だけは良いから来たという感じです。もし患者の立場だったら、絶対御免被りたい相手です。貧しい出身というと「清貧」という正のイメージを持つひとが多いと思いますが、実態は「貧すれば鈍す」でそういう綺麗事では済まないことがよくあります。無論ほとんどの方はそういうこととはまったく無縁ですが、ごくわずかながらもそういう卑しいひとが混じるところが「学費の安い国立大学」たるせいだと思っています。上記した2人もそうですが、足るを知らないというか「恵まれたひとたちへの妬ましさ」の意識が随所に顔を出すのです。付き合うと辟易とさせられます。そういう品格に欠ける行為は負の感情の連鎖を招き、職場の雰囲気を著しく悪化させることを自覚していただきたい


 話がお中元から大分逸れてしまいましたが、今までいろいろな局面でお世話になった方々の顔を思い出しながら「これからも末永いお付き合いをよろしく」と気持ちを込めて今季も送り出しました。