まひろ道長の子を産む 〜「光る君へ」
今年のNHK大河ドラマの「光る君へ」、私にとっては超異例でほぼ毎回見ています。何なら見逃し配信で繰り返し見るほどで、ここまで大河ドラマにのめり込んだのは生涯初めてです。やはり、大学受験で散々苦しめられた「古文」への積年の思いが爆発したためでしょうか(嗤)。しかしながら、筋の骨格は平安時代の史実とはいえ、内容自体は完全に現代ドラマですが。
今回の第27回「宿縁の命」でさすが大石静の脚本と思わせたのは、まひろが石山寺参詣でまたしても出会った昔の恋人藤原道長と燃え上がり、一夜を共にした結果彼の子を懐妊してしまう下りです。その事実を黙っていることに心苦しく耐えられなくなり、それを理由に夫・藤原宣孝に「殿、お別れしとうございます。」と告げるまひろ。しかし、宣孝はそれを遮り「そなたは結婚の時「不実な女でございます」と言った。お互い様だからそれでよいとわしは答えた。それはこういうことでもある。」を言います。「この子を慈しんで育てれば、左大臣様はますますわしを大事にしてくださろう。 この子は「福の子」やも知れぬ。」はご愛敬ですが、うーん宣孝すごいな。確かに親子ほど年が離れた夫婦ではありますが、宣孝よく言ったです。自分だったら、まず許しませんけど(嗤)。
Real Soundから引用します。
第27回で2人は復縁する。眠る宣孝の近くで、「いつも顎をあげて話す」「お酒を飲んで寝ると、時々息が止まる」と楽しげに書き綴るまひろはやわらかな表情を浮かべている。宣孝に対しては、肩の力の抜けた笑顔を見せるまひろを見ていると、道長に向けるものとはまた違った、親愛の情を宣孝に向けていることが分かる。
まひろの懐妊に対するやりとりで、まひろと宣孝の絆はより深まる。劇中、はっきりと明言されることはなくとも、宣孝の足が遠のいていた時期に出来た子、ととはつまりそういうことだ。喜びではなく、罪悪感に苛まれるようなまひろの表情は心苦しい。まひろの懐妊を大いに喜んだ宣孝に、まひろは「よく気の回るこの人が、気づいていないはずはない」と心を痛める。まひろは、あえて黙っている宣孝に正直に伝えることも偽ることも罪深いと思い悩むのだが、その姿には十二分に宣孝への愛がうかがえる。だが、宣孝への思いがより強固なものになったのは、まひろの全てを受け入れる宣孝の心の深さに触れた時だ。宣孝の思いがけない言葉にまひろは驚き、戸惑うが、宣孝の言葉の真意に胸を打たれ、涙ぐむ。宣孝の優しい微笑みを受けて、まひろもふっと微笑む様に胸が熱くなった。
この話はまったく創作で、現代ドラマそのものです。スポニチによると
「百戦錬磨の宣孝殿、前回はデリカシーの欠片もなかったけど、今回は見事に汚名返上しましたね 器が圧倒的に大きい」「殿の懐の深さに感動しました」「宣孝さん、なんて優しいの!」と最新話の感想などさまざまなコメントが寄せられた。
だそうです。
さてヤフコメは何と言うでしょうか。
PP
今回は二人の男とその中でゆれ動くまひろの演技が見事で、神回になるのでは?と思える程だった。
「お健やかに」と別れてから、それでも堪らず振り返ってまひろを見た時の道長の表情が秀逸で、思わず走り寄ってしまうまひろの気持ちが痛いほどわかった。
左大臣という重積を担ってはいても、本来はのんびり屋で優しく気弱ささえある三郎の顔を見た時、思い詰めた源氏を拒みきれなかった藤壺の姿を重ね、結果不義の子を身籠るという物語と重なって行くのが面白いと感じた。
桐壷帝は源氏と藤壺の子を我が子として抱くが、その「わかっていながら」ではないかと言われる桐壺帝の懐の深さを、宣孝に演じさせるとは見事な脚本だな、と感心した。
cal******
光源氏が、義母との間に不義の子を儲けて帝の子として育つ事や、正室として迎えた女三の宮を寝取られた事などと絡めて源氏物語執筆への伏線としているのかもしれないけど…
うーん…まあ、ドラマに胸キュンしてる人達にとっては面白い展開なんでしょうけど…
nom*******
まひろ → 藤壺女御
藤原宣孝 → 桐壺帝
藤原道長 → 光源氏
『源氏物語』の内容を知っていると、さらに面白いかもしれない。
確かに源氏物語の桐壷帝を中心としたエピソードを、大石静は下敷きに使ったと思えます。このドラマは架空なので、みなさんまひろと藤原宣孝の夫婦愛の強さにのみ関心がいっています。しかし、現実にそれが起こったらどうなるのか。
ちょうど先週ABEMA Timesにこんな記事がありました。
自分は不倫相手との子だった…“托卵妻”から生まれた当事者の苦悩 血液型検査で発覚「いきなり重たい十字架を背負わされた」海外では25人に1人の統計も
「托卵妻」という言葉がある。SNSを中心に目立ち始めたもので、主に既婚女性が夫とは別の男性と関係を持ったことで妊娠、出産したケースを指す。カッコウなどの鳥類が、他の鳥の巣に卵を生み付け、親鳥に雛を育てさせる「托卵」からきており「他の男性との子どもであることを隠し夫に育てさせる」という現象が人間にも起きている。『ABEMA Prime』は、大人になってから健康診断をきっかけに、自分の母が托卵妻で、本当の父が別人であったことを知った当事者を直撃。その苦悩と、増加する托卵妻の実態に迫った。
ほんとうか!!
自身が“托卵妻”から生まれたことを大人になって知ったという、「うどん定食さん」。きっかけは人間ドックだった。検査結果の説明を受けるために病院に行ったところ「申告していた血液型と検査結果の血液型が違うと言われて、そこで違和感を持った」。なぜなら本人が聞いていた両親からの血液型からは、検査結果で聞かされた血液型の子どもは生まれるはずがないからだ。両親に聞いていた血液型の間違いか、それとも病院で取り違えがあったか。母に電話で確認をしたところ「最初はもう黙りこくってしまって…。少し間が空いて『この話は父には言わないでくれ』と言われ、少しずつ実はこういう話があったというような説明を受けた。最初はすごく驚いたが、徐々に母への失望というか、嫌悪感みたいなものが出てきた」と、事実を聞かされた直後の様子を回想した。
血液型に関する違和感を覚えた後でも、すぐに不倫を疑ったわけではなかった。「不倫は一番可能性が低いと思っていた。(両親は)今も昔もずっと仲がいい。ただ万が一ということもあるので、母親に聞いた方がいいかなと連絡した」というほど、家族間の関係は良好だった。それだけに母から「父に言わないで」と伝えられても、それを受け入れ「家族がこれまで築いてきた和を乱したくないと思った。いきなり重たい十字架を背負わされたような、知ることによって不幸になっている感覚が自分の中にある。それを父や弟に伝えて、その人達も不幸にしてしまうのは避けたい」と、母に言われた通り秘密にすることを決めた。
うーん、自分がそういう立場だったら、親子の縁を切りますけどね。というか人間不信にお陥って、何か生きていたくなくなる気がします。
数多くの托卵妻を取材してきたライター亀山早苗氏は「少し前は『托卵女子』という言葉があった。その場合は独身女性が既婚男性の子どもを生む。それが広がっていって、既婚女性の不倫も多いため、『托卵妻』になった」。2005年にイギリスで行われた研究では、25人に1人、約4%は父親が違うケースがあると発表したが、日本において亀山氏は「増えているし、本人にもあまり罪悪感もない。私が何人かの産婦人科医に聞いたところ、人が思っているよりずっと多い。6%から10%に行くかどうかといったところ」と、取材に基づいた実態を紹介した。背景には「不倫関係が多くなり、そこに妊娠に気づくケースが多い。不倫相手のことがすごく好きで、この関係がもし終わっても証しを残したい、その子どもを育てれば彼のことが自分の心に残るということもある。さらに優秀な遺伝子が欲しいというパターンも最近、時々聞く」と様々な理由があるとした。
ヤフコメは何と言うか
pap********
罪悪感を感じないってちょっとした障害のような気もしますね…今でも仲の良いご両親とは言っても、他人の子をその仲の良い夫に、育てさせたわけですから、そこに本当に夫を思いやる愛があるように思えないんだな…
何となく汲み取れるのは、この方の育てのお父さんは、とても優しく頼もしい方だったんでしょうね。お母さんもそれを手放したくなかったんでしょう。結果、自分の気持ち第一優先だったわけで、その後の方なんて何にも考えてなかったんだろうと。素晴らしい夫、父であったから、うどん定食さんも優しい選択をしたと言うことです。ご本人の心労や葛藤を考えると、母親としてはやはり黙っておくべきではなかったでしょう。子を苦しめてまで手に入れたいもの、黙っておくことでもなかったはずです。言い出せなかったと言う気持ちもわかるけど、それって結局、失う事が怖かったからでしょう。1番の不憫は、お父さんですけど…
まあ、「光る君へ」の藤原宣孝と同じ考えです。しかし、そう綺麗事で済むかな?
豚のレバー
家は姉がそうです。托卵とは違いますが、高校生になり献血したら血液型がAのはずがOで、母ABからは産まれないんだけど?と言ったら母の機嫌が悪くなった。結局、有耶無耶なまま34歳で私が結婚する時に戸籍の取り寄せを母に依頼したら全部事項証明?だかで届いて見たら姉の欄に家庭裁判所の文字が。しかも、入籍した2ヶ月後が姉の誕生日。デキ婚だったのか?とか思いつつ調べたら、特別養子縁組だったと判明。
私が24歳で父が、38歳で母が亡くなり、もう真実知る人いないのかなーと思ってると口の軽い唯一の親戚が姉は母の妹が不倫の末に孕んだ子で堕胎期間を過ぎてたから中絶出来ず産んだ子。妹は育てる自信が無いと言い、不倫相手が引き取ると言ったが母が、やっぱり我が子だし育てたいとなっても親権を手放すと連れ戻すのは大変だよ?私が養子として育てるから、やっぱり育てたいとなったらいつでも言ってきなさいと言って引き取ったと。
ほー、すごい複雑な関係ですね!しかも
豚のレバー
産後一週間で引き取ったけど、産後半年で妹は自害した。その数年後(姉が5歳くらいかな?)で、特別養子縁組の制度が始まったので、両親は我が子(私)と分け隔てない様に特別養子縁組の申請を家庭裁判所にしたそうな。
母が亡くなり、書類整理や手続きにバタバタした夜に役所で気付くよりは…と言葉を選びつつ伝えたけど、私の親はこの2人だよって言ってた。口の軽い親戚は財産を他所の子に取られるなんてって口を挟んで来たけど、姉ちゃんと半分個するからって黙ってもらった。
不倫は誰も幸せにしないなって思う話です。しっかり姉妹で大学まで行かせてくれた親には感謝です。
終わり良ければですが、やはり不幸なことは起こります。しかし相続時には出しゃばり親戚の登場がつきものなのかな?
rpa********
母親が托卵妻で夫に内緒っていうのは、かなりショック
→ これって夫婦間だけのショックだけじゃないのをみんな忘れてない?誰もコメントしてないけど忘れてるの?
旦那側の両親が実はかなりショックなんだよ?
孫ができた!と喜んでたら、えっ!
k****
国内海外の金融機関で働いてきましたが、日本の信託や相続関連でも托卵は問題になっていました。
お孫さんにご相続させたいという祖父母の方が、お孫さんが息子さんに似ていないことだけがずっと引っかかっているとのことで、調べた後契約取消になることがあります。
やはり、いわゆる托卵で血のつながりのないお孫さんということで、一旦ご家族で話し合われることになります。
本部でデータ解析とかしているので、日本全国のDBとかをみていると、前働いていたとこのお客様だと7〜8人に1人くらいでした。
もともと契約取消になった人の分析なので多く感じますが、全体で見ると海外の25人に1人よりはもっと多いかなと感じます。
ご相続でやはり気にされる方が多いようですので、祖父母の方は息子さんに似ているか?奥様は配偶者とは別の方との子供の場合は早めにご家族とご相談しておいていただくのがよいかと思います。
桔槹多いのだな。
kfb********
綺麗事ではなく「親との血縁関係の有無」というのが自分のアイデンティティに大きな影響を与えるのは想像出来る。
「父親が自分とは血が繋がっていないと知ったら、自分への愛情が変化してしまうのでは」という不安は大いにあると思います。
極論的な言い方になるが、別に親の為に産まれてきた訳では無い。傷つくこと、不安になることは仕方がないが、自分の存在を、価値を、しっかり自分で認めてほしい。あなたは立派な人だ。自分も傷ついたのに、周りの事を大切に思い、痛みを我慢している。
素晴らしい人間だと胸をはってほしい。
実は私の知り合いでも、そういう出自でないかと疑っている者がいます。はっきりそうとは聞いてないけど、時々漏らす家族関係を聞くと「つまり、そういうことなんじゃないか?」と感じました。またその人は、それ以外には理由を見出せないと思わせる強い人間不信に悩まされ、「いつも死にたいと思う」とも言ってました。自分のアイデンティティに対する深刻な疑念が根底にあります。平安時代の通い婚のようにきわめて緩い夫婦関係なら子どもはそこまで悩まないと思いますが、現代は違うでしょう。
nao********
竹内久美子と言う動物行動学者が言っていたよ。オスとして魅力あるのは少数、独り占め出来ない、だからタネだけもらって別の真面目で優しいオスを夫にして養育させるのが最も自分の遺伝子を残り合理的な方法だと。
まあ事実でしょうが、このコメントした人、もしそれが我が身に起こったらそんな超然としてられるのかね?罪悪感から自殺に追い込まれることも大いにあると思います。
pos***
母親は我が身の可愛さの余り、
息子本人の意思も関係なく、"共犯者"に仕立てあげてる卑劣さ
(もし共犯せねば、『息子さんが』家族の平穏を壊す状況に追い込んでいる)
また息子さんは同時に、育ててくれてる父への罪悪感も抱えるかもしれない…
本当に、最悪な母親だと思う
今回の「光る君へ」は物語としては面白かったけど、現実にはやめた方がよい。もっとも人間の性愛の欲望は、神様も沈黙してしまう、理性でとても止められるものではないと言えますが。
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