薬物で3度逮捕された元医師 〜絶対麻薬に触れるべからず
NBC長崎の記事を読んだとき、既視感がありました。引用します。
「研修医の多忙さから―」薬物で3度逮捕された元医師の男 子どもの前で逮捕、離婚切り出した妻は
1/15(水) 12:02配信
「必ず更生するから」- 妻と3人の子どもに約束したという元医師の男(39)。医師という立場でありながら2度目の薬物事件を起こした男の第2回公判が、長崎地裁で開かれました。男は研修医時代の過酷な労働から再び薬物に手を出したと動機を語りました。
39歳。元眼科医の男は2024年に薬物の所持や使用の容疑で3度にわたり警察に逮捕されました。覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反の罪に問われています。
起訴状によると▼4月19日、ホテルで覚せい剤の粉末など約0.297グラムを所持、▼9月8日頃、自宅で覚せい剤を使用、▼9月9日、覚せい剤の粉末約0.026グラム、乾燥大麻などあわせて約4.15グラムと大麻を含む樹脂状固形物約0.448グラム、麻薬であるコカインを含む粉末や物質約1.769グラムを所持していたとされています。
男は2024年11月に行われた初公判と、2025年1月14日の第2回公判で、3つの起訴内容についていずれも認めました。
ここまでは「ああまたか」と思いましたが、その前歴に驚きました。
【事件の経緯】
2005年:仲間から誘われ大麻使用を開始
2012年:医学部在学中に大麻所持で逮捕、執行猶予判決
2020年:別の大学で医師資格を取得、研修医として勤務開始
2021年:研修医の多忙さから再び薬物使用
2024年:3度の逮捕、起訴される
■薬物との出会い
検察の冒頭陳述などによると、元医師の男は20歳になる年の2005年頃、所属していたグループの仲間から誘われて大麻を使用するようになり、密売人から入手して使用。さらにコカインや覚せい剤も使用していたとされています。
男の両親も医師で、男は両親に憧れて医師の道を志しました。2010年に関西にある大学の医学部に進学。しかし入学から2年後の2012年、当時の自宅で大麻とLSD(合成麻薬)を含む紙片を所持していたとして逮捕・起訴。懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受け、大学は退学しました。
被告人質問の中で男は、当時両親から「起きたことは仕方がない。反省をして医師になるためにもう一度頑張れば?」との言葉をかけられたと話しました。
■再び挑んだ医師の夢
男は再度医師を目指すことを決意し、別の大学の医学部に入学。勉学に励み見事国家試験をパスして、医師となる夢をかなえました。大きな過ちを乗り越え、自分の力でつかんだ夢。2020年4月から研修医として勤務するようになりました。
この被告の名前や卒業大学はもうわかりましたが、これもしも入試時に前科がわかっていたら、入学許可にならなかったのでないかと思います。というのは、「麻薬や覚醒剤に手を染めた医師が更生するのはきわめて難しい」は医師間では常識だからです。麻薬中毒からの回復で重要なのは「断薬」ですが、医師の場合職業柄さまざまな薬剤が身近にあるためその断薬が難しい。今回麻薬や覚醒剤入手はSNSでということなので、医師かどうかは関係ないですが、それでも環境として常に身近にあることは誘惑を招く原因になるでしょう。無論麻薬及び向精神薬取締法があり、医師とても「麻薬取扱者」の免許がないと触れられませんが、病院にいて身近にあることが確実ならいずれ手をつけます。麻薬や向精神薬は精神的依存性があり、意思の力だけで薬物摂取を断つことは不可能なのです。医師になってから、特に麻酔科医のように麻薬が常時ある環境の医師ではしばしば起こります。しかし、医学生として大学在学中に見つかる事例は、あまり聞いたことがありません。
しかし夢をかなえて間もなく、男は道を踏み外していきます。遅くとも2021年8月末頃には友人や先輩の勧めをきっかけに、再び覚せい剤を使用するようになったのです。再び薬物に手を出すようになったことについて、男は「研修医の仕事の忙しさ」を理由にあげました。
検察は冒頭陳述の中で、男がSNSで見つけた密売人から覚せい剤や大麻を入手し使用していたことを明らかにしました。
■置き忘れた薬物
男は2024年4月19日、覚せい剤が入った布袋を諫早市の宿泊施設に置き忘れたことをきっかけに覚せい剤取締法違反などの疑いで逮捕・起訴されました。
9月9日の逮捕の際は、自宅でトイレにこもっていたところを逮捕されました。
「友人や先輩の勧め」って、あなただれがそんなもの勧めますか。「研修が忙しい」は苦し紛れの言い訳でしょう。
■妻が明かした家族の苦悩
第2回公判では、黒いスーツに身をまとった妻が被告側の証人として証言に立ちました。
男が大学時代に大麻の所持で有罪判決を受けた時から交際していたという妻。乳児から中学生までの子ども3人がいて、今は義父からの援助と貯金を切り崩して生活していると言います。
妻は法廷で「夫が家に帰ってこなかったり、こそこそしていたりする様子をみて不安に思っていた」と話しました。
「…何もないよね?」と問いかけると「何もない」とこたえたという男。その言葉を信じたくて、薬物をやっていないと思いたくて、妻はそれ以上の追及はできなかったと語りました。
そして発覚した夫の裏切り―。自宅で逮捕された父親の姿を見て、子どもたちは泣いていたと言います。学校にも行けなくなり、妻と子供たちは県外へと引っ越しました。そして妻は夫に離婚を申し出ました。
奥様の心境はいかばかりか、拝察します。ただ夫に対する疑念というか確信はずっと持っていたと思います。奥様は義両親の援助があるので生活には困らないと思いますが、喪失感というか失望感は大きいと思います。
■最後のチャンス
「必ず更生するから待ってほしい」。無職となった元医師の男は、妻の離婚の提案を拒んだと言います。子どもたちを傷つけてしまった、その事実に苦しむ男の様子を見て、妻はもう一度だけ向き合い支えることを決意したと語りました。
妻が通帳を管理し携帯も毎日チェック、週に1回の尿検査と薬物から抜け出すための自助グループへの参加などを約束しました。妻は涙を流して、夫を支えると語りました。
妻:
「自分も子どもも大変な目に遭い、子どもは家も学校も友達も失った。それでも幼い子どもには父が必要。被告が更生できるように厳しく監督する」
被告:
「妻や子ども、周囲の人に多大なる迷惑をかけた。自分の軽率な行動のせいでこんなに周りに影響を与えてしまった。もう二度としないと思った」
奥様は夫に対して深い愛情をお持ちです。並の人間では到底できないことです。
■依存の深み
男はなぜ、再び薬物に手を出してしまったのでしょうか?
被告:
「眠気や疲れをとるために使用していた。いつでもやめられると思った。今思えば依存症だったんだと思う」
現在男は病院で薬物依存症の通院プログラムを受けています。入院している間、時間をかけて診察をしてくれる医師の姿をみて、「自分もこういう医療がしたい」「医師やスタッフとして薬物の依存症の治療に関わっていきたいと思った」と、法廷で早くも次の目標を語りました。
次回公判では検察による求刑が予定されています。
初犯ではないので、判決は実刑になる可能性が高いでしょう。そうなると、医師免許は停止でなく取消になります。しかし、医師として働く限り再犯する可能性が高いので、その方がいいです。願わくば出所後はきっぱりと薬を断ち、お子さんたちに父親としての姿を見せられるよう祈ります。実は、自分の出身大学でも麻薬中毒となって逮捕され、実刑とともに医師免許取消になった者がいました。しかし、どこの医学部でも1人や2人はいると思います。そして例外なく破滅への道で、中には過剰摂取で事故死した医師もおります。医学生や医師は面白半分に麻薬や覚醒剤などの薬物に手をつけることは絶対に止めるべきです。普通のひと以上に更生が難しく、折角のキャリアがご破算になります。
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