国公立大医学部難易度の推移 〜東高西低の変化?
来年度の大学受験難易度ランキング表が発表される時期となりました。前から思っていることですが、医学部のような難関学部の難易度評価は駿台の方が河合塾より信憑性がある印象です。もともと違う試験でしかも違う配点方式の試験難易度を序列化するのは無理な話ですが、それにしても河合塾の記述模試の偏差値指標は適当すぎるのでないかと感じています。
しかし、駿台の全国模試の偏差値はまだ出てないので、とりあえず河合塾が発表した2026年度入試の国公立大ランキングを見てみます。以下のようでした。
それに対して、2017年度のランキングは以下でした。
一見してわかるのは後期日程の医学部の激減です。この10年ほどで半減でしょうか。20年前まではほとんどの国公立大の医学部で後期募集があったことを考えると、えらい様変わりです。残っている医学部に関しては、この10年ほどの間難易度はほとんど変わっていません。ただ後期日程の募集人数は山梨大を除くと10人以下がほとんどで、多くの医学部受験生にはあまり重要とは言えません。
問題は前期日程です。河合塾の偏差値はあまりあてにならないので、共通テスト(センター試験)の得点率を中心に見ていきます。この表で指標となるのは、東大の理一、理二、理三の3つの科類です。この20年以上、この3つの科類の難易度に大きな変動はありません。これらを基準に他校の医学部を見ていくと、理一・理二より難易度が高い医学部が減っただけでなく、全体として医学部の難易度がやや低下傾向にあることに気づきます。その中でも関西圏を中心に西日本の医学部の下がり方がやや大きい印象があります。具体的に言うと、京大、阪大あたりから神戸大、京都府立医大、大阪公立(大阪市大)、岡山大あたりでしょうか。滋賀医大は例外的に上昇しています。これは後期日程を募集する近畿圏の医学部は奈良医大のみとなったことが大きいのかもしれません。つまり安全志向で前期で比較的易しかった滋賀医大を目指す受験生が増加したのかもしれないです。東日本で目を引くのは東京科学大(医科歯科大)の上昇です。ここまで上がるとは驚き!今から50年近く前まであった国立大入試の一期校・二期校制度時代、二期校だった医科歯科大並みの難易度になってきているのでないかと感じます。東工大との合併が影響したのでしょうか。
西日本は公立・私立を問わず、進学校の医学部志向が強いです。ですからこの変化は目を引きますが、逆に言うと今まで西日本の医学部の難易度が高すぎたのかもしれません。1県あたりの人口と面積を考えると、西日本特に関西地方は医学部の集積度が関東など首都圏と比べてもかなり高いです。現在でも初期研修のマッチングで、関西地方の病院は競争率がかなり高くなってきていると聞くので、そろそろ医師数が飽和に近い状況が生まれつつあるのかもしれません。ただ他の学部や系統と比べると、国公立大医学部は依然として高止まりです。ここに示す変化はまだわずかなものに過ぎず、実際の入試で「易化した」と思う受験生はまずいないでしょう。影響が大きいのは私立医大の方かも知れませんね。


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