「あんぱん」 〜なめたらいかんぜよ!
(松恵を演じる夏目雅子 映画「鬼龍院花子の生涯」(1982年)から)
「あんぱん」は高知出身の女代議士、薪徹子の出番となりました。東京のガード下の所場をマージャンの賭けで勝ってヤクザから奪い返そうとする薪徹子。
(「あんぱん」でマージャン卓を囲むヤクザに啖呵を切る薪徹子)
「あてが勝ったら、この場所は子供らのために明け渡してほしいがや」
という薪に、卓を囲む大友組のメンツが
「あんたが勝ったらだとぉ?あんたぁ、今最下位だぜ?ハハハハ!」
とあざ笑う。そこで、冒頭のセリフ
「なめたらいかんぜよ!」
が炸裂!そして逆転して勝った薪徹子は戦争孤児のための場所を手に入れる。薪徹子を演じる戸田恵子は「あんぱんまん」の声優で有名だとは今回初めて知りましたが、俳優としては今回が初出演だそうです。ついでに言うと、薪徹子(まきてつこ)は「鉄火の巻ちゃん」というあんぱんまんに出てくる威勢の良い女の子キャラのもじり。
*註 戸田恵子はその後調べたところ、長く舞台女優で活躍しており、声優はその後のことでした。訂正してお詫びします。
それにしても、薪徹子の啖呵を聞いて、60以上の視聴者なら往年の邦画「鬼龍院花子の生涯」(1982年公開)をすぐ思い出したでしょう。高知出身の作家・宮尾登美子が半ば自伝を織り込みながら書いた小説の映画化で、主人公の松恵を演じたのが夏目雅子でした。物語は第二次世界大戦前の昭和時代初期の高知を舞台にしています。松恵はヤクザ・鬼龍院政五郎の養女で、政五郎がめかけのつるに生ませた実の子が鬼龍院花子です。つまり、松恵と花子は義姉妹の関係。
松恵は頭が良く稼業を嫌い、高知高等女学校を出て小学校教師になって自立します。そして旧制高知高校にいた田辺恭介と知り合い、田辺が京都帝国大学を卒業した後曲折を経て結婚します。映画「鬼龍院花子の生涯」では、花子を拉致しようとした対立ヤクザ・末長に阻止を図った田辺は殺されてしまいます。徳島の田辺恭介の実家であった葬儀に松恵が出る場面が、冒頭のイメージです。骨壺から田辺の遺灰を奪おうをする松恵を、極道出身の嫁と激しく罵る田辺の父親。
なにしうがっ!この泥棒猫みたいなやっちゃ!ああ?
言うとくけんど、田辺家の総領息子のこっちゃけぇ、
おまはんみたいな極道やらヤクザやら分からんヤツの娘にやるんやったら、犬や猫にやった方が大分いいけんのーっ!
ええ!早よ、いね!いね!このーっ!
ここで堪忍袋の緒が切れた松恵は、父親をビンタ、ビンタ!
バシッ!バシーッ!
気魄にたじろぐ父親を押しのけ、松恵は遺灰を骨壺から手掴みで持参の分骨壺に移す。そして鬼のような形相の松恵は、手に持つクラッチバッグで再び父親を激しくど突く!
バシーッ!
慌てて集まってくる田辺家の若い衆たちに取り囲まれる松恵。そこで切った啖呵がこれ!
おまんら・・何しゅうがぜよ・・
どきやー、(バッグでバシーッ!と迫る男の胸をはじく)
あては・・高知九反田(くたんだ)の侠客、
鬼龍院政五郎の 鬼政の娘じゃきぃ・・
なめたら・・なめたら いかんぜよ!
いやー、こう書き写してみても、夏目雅子の迫力すごいわぁ!そしてこの松恵のイメージが、薪徹子に重なります。しかし、この「鬼龍院花子の生涯」を知らない視聴者が多いようで、ヤフコメでもあまり反響なし。そして、こんなコメントが。
mor********
2日前
SNS上で「なめたらあかんぜよ!」→スケバン刑事ね! みたいなコメントを見て遠い目になった
はあ?スケバン刑事(デカ)か?1980年代のテレビドラマ「スケバン刑事」で主人公のヨーヨー使いの女子高生刑事(?)麻宮サキが言う決めセリフは「おまんら許さんぜよ!」でしょーが?
ちなみにGoogle AIが教えてくれたのは
「スケバン刑事」の歴代主人公である少女刑事たちが発した有名なセリフは、演じた女優によって異なりますが、以下のようなものがあります。
斉藤由貴(初代麻宮サキ)::「てめーら、許せねー」
南野陽子(二代目麻宮サキ)::「おまんら許さんぜよ」
浅香唯(三代目麻宮サキ)::「せからしか! きさんら許さんわい!」
これらのセリフは、各シリーズでの決めゼリフとして知られています。特に南野陽子さんが演じた二代目スケバン刑事・麻宮サキは、鉄仮面をかぶり土佐弁で話す設定が特徴的で、そのセリフも印象的です。
この南野陽子の「おまんら許さんぜよ」は、間違いなく当時一世を風靡した夏目雅子の「なめたらいかんぜよ!」から出たコピーです。
ちなみに夏目雅子はこの「鬼龍院花子の生涯」に出演して数年経たぬうちに、急性骨髄性白血病で慶應病院で亡くなりました。享年27。女優として彗星のごとく現れ、その絶頂期に死去。嗚呼、昭和は遠くなりにけり!
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