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誤解を受けやすい瞬間記憶能力 〜謎多き特殊能力

ポワール


産経新聞の相談欄に興味深い相談がなされていました。

「誤解を受けやすい瞬間記憶能力のある男性教員、同じ特性のある生徒に「打ち明けるべきか」

相談


40代男性教員。私には、見た光景を映像として覚える瞬間記憶能力(カメラアイ)という特性があります。子供の頃は、カードを丸暗記できたり、適性検査で極端な結果が出たりして、気味悪がられました。受験勉強では生かせたものの、嫌なことを光景として記憶して忘れられないので、苦労のほうが多かったです。家族しか知りません。周囲に打ち明けるのは怖いです。


ところが最近、カメラアイの持ち主が多いサバン症候群の生徒を指導するようになり、カミングアウトを考え始めました。彼らは能力は高いのに自分に自信がなく、「大人になっても自活できそうにない」と嘆いています。「先生にもカメラアイがあるけど、大人として自活できているよ」と告白したら励みになると思うのですが、なかなか勇気が出ません。

カメラアイ、話だけは聞いたことがありますが、実際どういう能力なのかさっぱりわかりません。しかし、ある種異常に高い記憶力と関係しているのは間違いなく、医学生や医師には案外いるのでないかと思います。現に同級生でも「一度見たものはそのまま頭に再現することができる」という者がおりました。複雑な有機化合物の構造式など図形としてなかなか憶えられない私としては、まことに羨ましい能力でした。何せ医学部の教育は憶えることが多いです。今後A.I.の進歩があったとしても、医師の判断力には医学知識の基盤が記憶内にあることが絶対必要です。カメラアイは医師になるにあたって、有利な力と感じます。


 しかし、この先生の相談からすると、あまり肯定的に捉えていません。カミングアウトするべきかどうかを悩んでいます。受け持っているサヴァン症候群の生徒はおそらく支援学級あるいは支援学校に在籍するのでしょう。こういう子供達のカメラアイはどんなものなのか?ネットを検索すると、こんなブログがありました。「発達障害×不登校 凸凹キッズと七転び八起き」というブログから引用します。

最近、息子が自分から話してくれたことがあります。


ママ、僕はね、その時の様子が写真みたいに頭の中に出てくるの。

だから、その時はわからなかったことが、わかることがあるんだよ。


なんですって~!!??ポーンハッ


瞬間記憶力「カメラアイ」

カメラアイは発達障害の一部の人に現れる能力です。

視覚情報の処理能力がとても高く、一瞬で見たものを記憶に定着させることができます。

視覚的な情報に敏感であることが多く、その結果、一見しただけで複雑なパターンや細かいディテールを記憶することができるのです。

このカメラアイがあることで昔の記憶が瞬時に鮮明に思い出せるようで…


6年前、3歳だった頃の話をものすごく詳しく覚えています…

(あの時〇〇くんが〇〇をもって、〇〇の方向を見ながら〇〇って言ってたよね!という話をよくします)


さらに!!

小1の時にお友達からハサミを向けられた話も…

当時はとっさのことで呆然としていたけど、今改めて記憶の写真をみると、あの子はハサミを僕の心臓の位置に向けていた

と改めて考察できるようです…

この後、カメラアイの能力はなんでも見たものをやたら記憶する力ではなく、例えば文字とかは駄目なことを述べています。そうなのか。

 カメラアイのデメリット


一番のデメリットは悲しい出来事のフラッシュバックです。

ASDの特性としてマイナスの記憶のほうが残りやすいんですが、それが写真のように鮮明に思い出せるんです…

いわば鮮明な悲しい記憶アルバムが常に頭の中にあり、1つのことがきっかけでそれが一気に出てきてしまう…

パニック!!


最近息子が鬼ごっこで鬼をやりたくない話をした時も

年中の時に誰も捕まえられなくて、みんなは逃げていくし…

鬼ってこんなに悲しくて孤独な役割なんだって思って…もう2度と鬼はやりたくないと思った…

僕は覚えてるんだ!本当に誰一人捕まえられないクズだったって!!(5年前の話で号泣)


何か辛いことがあったり嫌なことを言われたときに、同じ言葉を言われた関連した記憶写真が瞬間的にたくさん出てきてしまうんです…

アスペルガーの患者が何かをトリガーとしてパニックに陥っていくことはよく知られていますが、こういう嫌な記憶の残像が鮮明に蘇ってくることも原因でないかと感じます。上記の相談した先生も、嫌な記憶を忘れられないので苦労すると述べています。そうですね、私も時々何十年も昔ひやりとした出来事を思い出し、思わず大声で「あーっ!」とか叫んでしまうことがあります。しかし、場面を思い出すものの鮮明という感じではないな。もっと鮮明にまるでその場にいるかのように思い出したら、「あーっ!」では済まないかも。ヒトの記憶は基本的にニューロンネットワークの回路に保存されますが、アスペルガー患者は特定の刺激に関して特にそれが形成されやすいのかも。それが音とか光とか特定の刺激に対して、特に過敏な性格と関係するかもしれません。


 カメラアイというと、私が思い出してしまうのは「酒鬼薔薇聖斗(さかきばらせいと)」です。彼が後年出版した「絶歌」という書籍は、強い批判を受けました。私は読んでませんが、彼が一時期開設していたサイトを見たかぎり、普通のひととは違うきわめてグロテスクなものを好む性格と思います。その絶歌に関するAIGoogleの要約をつけます。

AI による概要

2015年に出版された神戸連続児童殺傷事件の加害者(元少年A)による手記『絶歌』において、「カメラ・アイ」という言葉は、加害者が自身の心や感覚を表現する上で特徴的な描写として登場します。

検索結果に基づく関連情報は以下の通りです。


    『絶歌』内の章節: 『絶歌』の目次において「004 カメラ・アイ」という章が存在する。

    「カメラ・アイ」の描写内容: 加害者が自身の視点や感覚を、感情を持たない機械的な「カメラの目(カメラ・アイ)」のように冷ややかに描写している部分と見られる。

    発達障害との関連: 少年Aの心を精神分析した書籍やレビューでは、この「カメラ・アイ」という感覚が、発達障害の特性(全体よりも詳細に視線が向く、あるいは感情の乖離)を持つ人に見られることがある、と分析されている。

    背景: 著者がカメラアイという特異な感覚を持って世界を捉えていたことを、事件の心理背景として綴っている。 


『絶歌』は出版時に大きな議論を呼び、販売中止を求める声や啓文堂書店が販売を見合わせるなどの動きがありました。

 このカメラアイの使い方は原義とは違いますが、おそらく彼の精神鑑定の経過で診察した医師が発した言葉でないかと感じます。酒鬼薔薇聖斗にはカメラアイの能力があるのでしょう。


 さて話は戻り、この先生の産経新聞の相談で回答はどうなっているでしょうか?

回答


カメラアイというマイノリティーとして生きてきたあなたが、これまでカミングアウトしなかった理由は何か。それは、この特性ゆえに誤解され気味悪がられることで、苦しみが倍加することが怖かったからではないでしょうか。そんなあなたが、サバン症候群の生徒にカミングアウトしようと思い立ったことの意味から考えてみましょう。


そもそもあなたの特性は、隠すべき素性なのか。他人に誇示するものではないでしょうが、それを有して困難を抱えつつも生き抜いてきたことは、むしろ自負していい人生の航跡です。


しかし伏せ続ける生き方は、知らず知らずのうちに自己否定を内面化させます。「ずっと語られない特性」は、当人の人生から意味づけの言葉を奪ってしまう。それがあなたのこれまでの人生を窮屈なものにしてしまってはいないでしょうか。


あなたは教師として、この生徒の苦悩を慮(おもんぱか)って、自らカミングアウトし、彼を助力しようとまで考えるようになった。過去の姿勢を踏まえれば、これは大変な勇気であり、この利他的な行為はたたえるべきものです。とはいえ、今のあなたは英雄としての称賛は望んでいないに違いない。苦悩する「人生の後輩」に理解を示し、寄りそい、その先の道を指し示してあげたいだけなのです。


ただ、ひとつだけ付け加えたいことがある。このカミングアウトは、彼のためだけではない、他ならぬあなた自身を救済する行為なのだと。これまであなたは長い年月、特性を押し込めてきた。これを肯定的に捉え直すことで、自我を伸びやかに解放することができる。この姿勢こそがあなたの人生の成熟を示すものであり、彼への一番の指針となるに違いありません。

回答者・熊木徹夫

回答の熊木先生は精神科医で、経歴は本人のサイトによると以下です。

【経歴】      
京都市出身 洛星高校 卒
1995年     名古屋市立大学医学部医学科 卒
1995年~1997年     名古屋市立大学病院 精神神経科 勤務
1997年~2002年     豊橋市民病院 精神神経科 勤務
2002年~2004年     愛知医科大学付属病院 精神神経科 勤務
2004年~2007年     矢作川病院 勤務

2007年〜 あいち熊木クリニック院長


相談者の先生がもしカミングアウトすると、それはカメラアイの能力だけでは済まないでしょう。この先生は相談で語っていませんが、おそらく教え子たちと同じある種の発達障害があるのでないか。いずれそのことも語ることになるのでないかと予想し、それが生徒たちにどんな反応を生むのか恐れていると感じます。熊木先生は精神科医としてそういう先も見通して語っているので、ややわかりにくい回答になっています。


 どの職場にいても発達障害のひとは必ずいると思います。でもそういう障害に無知な職場の方が圧倒的に多いのでないか。あるいは気づいていても理解しようとせず、わざと無視して過酷な対応をされることも多い気がします。また非常に高い能力と注意力を常に発揮してないといられない職場だとすぐ適応できなくなり、あっという間に破綻します。せっかく努力しても寄り添われず、人生楽なもんじゃありません。ただ理解ある職場であったとしても、周囲の違和感は残ると思います。特に医療のような生き死にに関わる職場だと、危機的なことになりかねません。カメラアイの話題から離れてしまいましたが、いろいろ考えさせられる相談と回答でした。