gillespoire

日常考えたことを書きます

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

「ダイアベティス」の提唱 〜(゚Д゚)ハァ?

昨日から気になる医学関係のニュースが流れています。


「日経メディカル」の記事を読みます。

2023年9月22日、日本糖尿病学会と日本糖尿病協会は合同で会見を行い、糖尿病の新しい呼称として、「ダイアベティス」を提案すると発表した。現在の医学において「糖尿病」という名称は病態を正しく反映していないこと、また「尿」と排泄物の名前が入るとネガティブなイメージにつながることが呼称変更の理由だ。今回、変更が提案されたのは病名ではなく、あくまでも呼称。今後1~2年の時間をかけ、呼称変更の必要性を含めて社会的に議論していくという。

え!何言ってるの?意味わからん。だれがこんな提唱したのか知らんが、そもそも誰が名称変更を希望してるの?と思ったら、今朝の日経にこんな記事が出ていました。

学術団体の学会と、患者や医師らでつくる協会の合同委員会が1月、新呼称を検討する作業部会を設置。「ディアベ」「DMS」「糖代謝症候群」など複数の案の中から、学術的に正確で、海外でも使われるダイアベティスを選んだ。


尿から糖が出ても糖尿病とは限らず、糖が出ない場合もある。協会の清野裕理事長は「糖尿病という名称は、科学的に正しいか疑問で、患者に喜ばれない。世界の共通言語に思い切ってかじを切るべきだ」と主張した。病名自体の変更も視野に入れているという。


かつては「蜜尿病」との呼称もあったが1907年に糖尿病に統一された。合同委は変更の必要性や、新呼称の妥当性を、シンポジウムなどで議論して結論を出す。


協会が2021〜22年に患者千人超にアンケートをしたところ、病名に「尿」が含まれることへの不快感や、怠惰な生活をしていると誤解されることなどを理由に約8割が変更を希望した。〔共同〕

うーん、糖尿病の患者さんは、名称変更ではなく自分がそういう病気であることを否認したい欲求が強いのでないでしょうか?糖尿病はかなり進行するまで、自覚症状が出にくいです。通常糖尿病というと「2型糖尿病」ですが、初期は投薬より食事や日常生活のコントロールが重要で、教育入院もよくおこなわれます。しかし入院中に指示に従わない患者が結構居て、医師や看護師が困らされるケースがかなり多い。普通の病気と違って自覚症状に乏しいから、ついつい自分に甘く(!)なるのでしょう。最近読売新聞の「発言小町」にこんな投書がありました。


これだけだと何の病気かわかりませんが、医師・看護師など医療関係者が見たら、「あ、糖尿病の教育入院だろう」と思うでしょう。患者が隠れて甘いお菓子やジュースを口にしてる情景が目に浮かびます。
 単に「ヒドイ看護師!病院に通報・投書してやれ!」と事情を推察できないアホな回答してる人がかなりいてゲンナリしましたが(看護師でもそういう回答するのが複数いてビックリ)、きちんとした看護師さんからこういう回答がありました。

案の定、質問者はその後一言も発言がなく、「図星」だったのでしょう。少しは反省してほしいな。


 話は戻りますが、糖尿病は英語でdiabetes mellitusといい、古代ギリシャ語の「甘い尿」から来ています(diabetesー尿、 mellitusー甘い、蜜の)。英語式に発音すると「ダイアベティーズ メライトゥス」となるので、今回提唱されている名称案もそこから来ているのでしょう。医者は糖尿病をよく「ディアベ」と呼びます。しかし、「ダイアベティーズ」でも「ディアベ」でも「尿」という意味しかない。「尿!」「尿!」と連呼されるも同然で、いくら知らないからといってそれで患者さんは気分が良くなるの?医者だったらもうひとうの「ディアベ」すなわち、diabetes insipidus「尿崩症」も知っているので、余計に違和感があるでしょう。


 糖尿病学会の今回の提案は問題の本質からズレていると思います。


追記
今朝(9月25日)の読売朝刊にこんな時事川柳が出ていました。

英語より高血糖にしたらどう

川崎 辻敏明

ほんとにそう思うわあ。