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数学の能力に先天性要素はない? 〜信用できません(苦笑)

数痴と受験数学
昔の京大医学部受験生のブログ(1)
数学の能力に先天性要素はない? 〜訂正(バカなわたくし 嗤)
東大入試で最も差がつく科目は数学 〜実感通り


ネットニュースに【学力は遺伝か、努力か?】という題名で、学力と遺伝子に関する最近の研究結果が取り上げられています。表題に続いて


「一卵性双生児で“最も成績で差がつくのは数学”というデータは、何を意味するか」


と書かれています。一卵性双生児は原則として同じ遺伝子を持っていると考えられるので、数学の成績に差が出るのは後天的な影響であると言っているわけです。はっきり言いますが、私は「数痴」だと自認しております。小学校から大学まで算数・数学と一生懸命勉強したつもりですが、「才能ないなー」が実感です。しかし、数学は才能でないのか!


 記事を読み進めると、以下のようなことが書いてあります。

『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)などの著書があるノンフィクションライターの杉浦由美子氏がレポートする「中学受験家庭を悩ませる、遺伝と学力の関係」の第2回。

遺伝が学力に影響をする――これは昔からみな、薄々と感じていたことであろう。それが現在、公に語られるようになってきている。 

 行動遺伝学者の慶應義塾大学・安藤寿康名誉教授のベストセラー『日本人の9割が知らない遺伝の真実』(SBクリエイティブ)の中の遺伝率に関するデータでは、遺伝が与える影響として、学業成績(9歳時)は国語が約8割、算数や理科も8割近く、そして、才能は音楽は9割以上が遺伝の影響があることを論じている。

〜中略

しかし、安藤教授の他のデータを見ると違う側面が見えてくる。『哲學』(2023年3月号・教育学特集号・三田哲学会)の中で掲載されている安藤教授のデータでは、学業成績の遺伝率は5割強で約半分なのである。これは中学生以降の数値であると推測される。なぜなら、中学での遺伝と学業成績を調べたデータがあるからだ。

 安藤教授は双生児を調査することで遺伝の影響を見ているが、その双生児研究で知られるのが東京大学教育学部附属中学高等学校だ。積極的に双生児を入学させ、調査研究をしてきた。この東大附属の双生児研究によると、一卵性双生児で成績に差が出ないのは音楽や体育で、最も差が生じるのが数学と物理であるという。

うーん、どうかな。自分も高校受験までは数学がそれほど得意でないといっても、それなりの得点を叩き出し、まあまあの成功でした。この調査もどうやら中学・高校程度の数学を対象にしているようです。


 私にとって大学受験の数学は、高校までとはまったく違いました。東大と京大の数学はかなり傾向が違いますが、とにかく歯が立たない。なかなか点数が出ません。高校時代はろくな数学教師に教わってなかったので、浪人してから駿台予備校で徹底的に勉強しなおしました。その結果、微積分とか行列(=線形代数)とかはある程度定石を知れば、解法が全然わからないことはないとわかりました。特に数IIIで極限の扱いをしっかり学習すると、微積分方面は何も問題なし。立体問題など図形問題は高校までも得意だったので、こちらとの組み合わせ問題も問題なし。しかし整数と確率は鬼門でしたね。まず整数問題では定石といえる解法はほとんどないです。毎回ひらめきが要求されるので、全然思い浮かばないと地獄。確率は普通の数学とは違う分野のように感じます。余事象の扱いとか空間的な事象の配置のイメージをつくるのが得意でなかったです。ところができるクラスメートは、そういう難題も難なくこなして高得点を出します。数学ができれば受験はオールマイティというわけでなく、特に難関大の医学部受験だとすべての科目で高得点を出せないと勝てません。ですが数学は差がつきやすい科目で、万一数学を失敗したらもう「ゲーム終了」です。私のような数痴には苦しい限りでしたが、それでも最後の受験では数学満点を叩き出して合格しました。


 まあ受験の数学なら必死の努力で何とかなることもあるというところでしょう。しかし大学以降はどこもそうとはまいりません。ただし医学部では教養時代の数学はそう難しいことをやりません。微積分では微分方程式やマクローリン展開から線形代数を理解し、医学で必要になる流体力学の関係で(循環血流とか)非線形代数の入り口くらい(フーリエ級数)を学びます。統計学などが重要になってきます。この程度なら数学脳がなくてもしのげますが、群論とか現代数学方面は一切学びませんでした。


 ところで私と違って息子は数学がずっと得意でした(家内の家系からの遺伝ダナ)。最初の大学は京都大学理学部でしたが、入学後の成績開示を見ると数学で得点を稼いでいました。京大の場合、理系各学部の中で二次試験の数学配点がもっとも高いのは理学部です、息子には「数学得意」という意識はずっとあったと思います。ところが大学に入ったら、まったく勝手が違いました。京大理学部の募集は「理学部理学科」で学部段階ではほとんど専門に分かれていません(卒研除く)。従って1回生から3回生くらいまで理学部生は生物系から化学〜数物系など将来志望混在の状態で科目を履修します。息子は2回生の時、意気揚々として数理系の初級科目「解析学演習」をとりましたが、クラスの中に2人くらいめちゃくちゃ出来る学生が居たそうです。自分がまったく手を付けられない演習問題をすらすら解いて前に出て板書するそうですが、そもそも彼らが記す内容がよくわからなかったそうです。「僕は今まで数学得意とずっと思ってたけど、京大に来てただの凡人と思い知った」そうです。天狗の鼻、折られたり。従って数理系は諦めました。でも人生とは「上には上がいる」を知ることであり、少なくとも日本ではトップレベルの数理科学志向の学生を目の当たりにしたのは、得がたい経験でしょう。ある意味、私は羨ましいです。


結論;数学力はある程度以上のレベルになれば、先天的に決まっています。ジタバタしても仕方ない。人事を尽くして天命を待つのみ!