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有力な医学論文数の大学ランキング 〜卒後の医学部実力差

医学部合格者の模試偏差値分布 〜実態をよく反映している河合塾の分析


 医師向けサイトに昨年とても興味深い解析が出ていました。2021年発行のジャーナルインパクトファクター(IF)の上位25%内に位置するジャーナルに収録されている論文を「Q1ジャーナル」と定義し、Q1ジャーナルに掲載された臨床医学論文の総数を大学別に集計した結果です。IFとはあるジャーナルに掲載される論文が過去2年間に平均してどれくらいの回数引用されるかを示すものです。たとえばIFが10のジャーナルは、そのジャーナルに掲載された論文が過去2年間で平均10回引用されているということになります。Q1と定義される上位25%がIF値で幾つ以上に該当するのかわかりませんが、有力なジャーナルであることは間違いないです。

上位に並ぶ医学部は医師としてみても、高い臨床研究力を実感する大学です。旧帝と慶應、続いて旧六・新八の並びに順天堂大が入っているのが、目を引きます。私立医学部間の比較では慈恵や日医を圧倒しており、近年の順天堂の躍進を裏付けています。中国で拮抗する岡山大と広島大では広島大に軍配が上がり、医科歯科よりも多いです。京大より臨床に強いと言われる京都府立医大が意外と少ないです。筑波大は新参ながら健闘しています(東北医薬大・国福大ができた今となると新設イメージはないけど)。続きです。

平均以下には地方の国立大や私立医学部が並びます。新設の国際医療福祉大が善戦していますが、卒業生の活躍はまだ反映されてないはずです。この問題は後でまた触れます。

下位層では地方の国立大が私立医大よりかなり多くなっています。国立大といっても地方の国立大学医学部の臨床研究力には、かなり課題がありそうです。ただその上の層に位置する都市圏の私立医大では、卒業生より旧帝・慶應などから来た外部出身の教授が率いている診療科が多い点に注意が必要です。


 こうやってみると、大学入試の偏差値とは違う医学部の実力差がはっきり見えて来ます。医学部に入学した後どれくらい勉強するか、また卒業してからもずっと続く医師としての研鑽の差がここまで開いているとは、知りませんでした。上位の医学部と下位の医学部では、実に20倍近い差がついていてびっくりします。しかし、やっぱりなとも感じます。医師免許を取って研修を終えると、あまり勉強したり研鑽したりしなくなるドクターを時々見てきました。そういう医師たちの出身校を思い出してみると、この表は当たっていると感じます。これから医学部を受験する学生さんたちにもとても参考になるデータです。ただここで注意しないとならないのは、「論文数が多い=卒業生の実力」ではないことです。論文は主に医師資格を持ったひとたちが著者ですが、大学によって卒業生の教員比率はかなり違います。概して有力医学部の教員は卒業生が多いですが、下位医学部では卒業生比率が高くないところもあります。それを考えると、上位医学部入学者と下位医学部入学者の卒後の実力差は、この表以上に大きい可能性があります。