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鉄緑会に陰りが見え始めた理由 〜ほんとに陰ってきたの?

数学IIIについて 〜今大学受験はこうなっていたのか
「新理系エリート」 〜鉄緑会の指定校今昔


「週刊ゲンダイ」の記事です。
鉄緑会の存在は、東大のような難易度の高い大学の受験生では知れ渡っていると思います。しかし昔、と言ったって10年ちょっと前ですが、JR御茶ノ水駅に「鉄緑会」の広告が出てるのを見て、「ああ、何か新たな東大受験予備校ができたみたいだな」と思った覚えがあります。「鉄」と言えば鉄門倶楽部、「綠」といえば綠会ですからね。ここまで大手になるとは、あの頃思ってもみませんでした。


 鉄緑会は東京本校と大阪校がありますが、運営法はかなり違うようです。しかし共通しているのは、受講生として現役生しか扱わないことと、講師として東大あるいは京大でも特に優秀な学生を雇っていることです。あと「指定校」と言って、中1から入塾する場合東大に進学実績がある中高一貫校は鉄緑会が指定して無試験にすることですが、大阪校はそうでなく全員試験で選抜するようです。


 サイトを見ると、東京本校は以下の学校を指定し、在校生の人数も書いてあります(2023年11月現在)。御三家は言うまでもなく(あ武蔵がない)どれも首都圏では知れ渡った中高一貫の進学校ばかりです。
開成 1120 名
桜蔭 882 名
筑大駒場 601 名
麻布 480 名
海城 517 名
駒場東邦 330 名
筑大附 437 名
豊島岡 456 名
女子学院 251 名
雙葉 245 名
渋谷幕張 266 名
渋教渋谷 247 名
早稲田 247 名
聖光学院 115 名
栄光学園 96 名


 鉄緑会大阪校は指定校制度がないですが、在校生はやはり灘など関西圏の有名な中高一貫の進学校が中心です。
灘 328名
洛南 507名
神戸女学院 302名
四天王寺 205名
高槻 160名
甲陽 158名
東大寺 156名
阪教附池田 124名
西大和 112名
洛星 107名
星光 105名
神戸大附 96名
清風南海 68名
清風 53名
府立北野 52名,
阪教附天王寺 50名
六甲学院 50名
帝塚山 43名
海星女子 32名
白陵 30名
金蘭千里 26名
府立洛北 22名
以下略


 週刊ゲンダイの記事を引用します。


国公立大医学部や私大医学部の上位校でもたくさんの合格者を出している鉄緑会だが、前出の元経営者は「教育システムが優れているといっても、想像の範囲内」と話す。高い実績を残してきた理由は「入ってきた時からすでに生徒たちは勉強の仕方を知っている」(鉄緑会元講師)というのが大きい。入塾のハードルが非常に高く、デキる生徒が集まっているのだ。だが、圧倒的なナンバーワン塾も最近は陰りが見えだした。鉄緑会(代々木1拠点)からの23年度の理Ⅲ合格者(一般入試定員97人)は36人。凄い数字ではあるが、過半が当たり前だった鉄緑会としては物足りない。「07年にベネッセコーポレーションに買収されて以降、経営に重きをおくようになり、少数精鋭が崩れつつある」と元講師は懸念する。今後、医学部受験の勢力図が塗り替わるかもしれない。


えっ!そうなの?あまり売れているとはいえない予備校のベネッセに買収されたのは事実だけど、そのせいで東大の理科三類合格者が減ったんですか?


 確かに理科三類合格者が過去に50人を超えたこともあったように記憶しますが、36人は少ないのか?鉄緑会大阪校のサイトには、東京と大阪を合わせた合格者数が出ていますが、それだと理科三類は59名で相変わらず定員(97人)の過半を占めています。それよりすごいと思うのは、東京本校からはあまり受験者がいないはずの京大医学部に大阪校から55名合格していることで、こちらも定員(105人前後)の過半を超えています。東京本校も大阪校もサテライトの校舎がないか、あっても僅かですから、そこに通える東京都内か京阪神の生徒しかほとんどいません。九州の鹿児島ラサールとか久留米大附設、愛知の東海、札幌の北陵のような有名な進学校でも地方にあるとまず通えないから、この実績は両校に通える範囲に住んでいる合格者はほぼもれなく鉄緑会出身と考えてもいいでしょう。それに東大京大以外の医科歯科、阪大といった難関医学部の合格者数もすごい数で、鉄緑会は東大というより今は難関医学部全般に強い塾という認識でないでしょうか。


 ヤフコメを見ていくと、こんなこと書かれています。

tat********1日前


鉄緑はほとんどの授業を学生アルバイト講師が行う。だから授業料も他の予備校等に比して格安。ハッキリ言って授業の質が高いとは言えない。それでも凄まじい実績を上げるのは、入塾する生徒の質がそもそも高いから。少しだけ後押ししてあげれば、生徒が勝手に競争心を持って取り組む環境がある。ついて来れない生徒はドンドン退塾していくサバイバル塾であり、学校の宿題や部活が活発でない超進学校の生徒のみが生き残る。

中学高校時代の6年間は東大や医学部に行くための準備期間と割り切った感覚でないと、鉄緑を選択してはいけない。


ああ、これ鉄緑会の経験がない人のコメントです。
授業料も他の予備校等に比して格安
は事実ですが、
ハッキリ言って授業の質が高いとは言えない
はウソ。子供が鉄緑会に在籍していた頃、理科や数学では東大理科三類およびその先の東大医学部在籍生が講師の中心でしたが、教える熱意はすごかったです。なんかもう自分が培った受験技術をすべて語るといった感じで、報酬よりもそういう技を教えることが楽しいように見えました。生徒が質問すれば懇切丁寧に教えてくれ、時間なんていくらかかってもまるで気にしない。これが専業の予備校教師だったら、「ひとの時間をタダで使うのか!」と怒ってしまうでしょう。学生講師ならではの損得抜きの純真さと思えます


だから以下のひとのコメントも実態と違いますよ。


yinyang17時間前

ヤフコメの多くはかなりズレてる1日前


>学生アルバイトとはいっても、鉄緑出身の東大生ばかりと聞いています。

そのため、単なる学生アルバイトと表現するのは適切ではないと思います。

これもちょっと違うのよね。自分が勉強できることと、人に教えるのが上手いのは、異なる技能であり才能なの。

野球だってそうでしょ。名選手が必ずしも名監督になるわけじゃない。鉄緑会出身の東大生だって同じこと。鉄緑会だから、東大生だからといって、必ずしも教えることが上手いわけじゃない。

ここが分かっていないと、「単なる学生アルバイトとバカにするな!」ってムキになっちゃって、「言葉狩り」みたいなことを始めちゃうのよね。

しかし、ついていくのがかなり大変なのも事実。以下はその通りです。

授業のコマ数も多いですけど宿題も多いですよ。

通う子供は睡眠時間も少なくなって大変です。

ただし東京大学に入れて無事卒業出来れば一般人と違う人生が待っている様です。


ゲンダイ記事の理三合格者が減ったというのがもし事実だとすると、これは当たっているかも。

kot********20時間前


医学部のレベルは7,8年前をピークに下がってきています。

代わりに東大理一と情報系が上がっている。

鉄緑会の理三の合格割合が減ったのは単に最上位が理三から理一にシフトし始めたからではないでしょうか。

理科一類に合格する受験生で最上位の方は、理科三類でも十分合格できる者が昔から結構居ます。ですから、最近はやりのAIなどを狙った情報科学の人気がうなぎ登りなことと関係する可能性はあります。ただ情報科学系には「凡人の勝ち目はない」です。だから以下のコメントは勘違いです。


h*m**k****1日前


医者になっても激務で稼げる訳じゃないし、投資に見合わない職業やってことは、賢い子ならとっくに気付いていて医学部避けてるよ。


これで、稼げるからっていう同期の人は排除できそうやけど、未だに肩書きとか、実家が開業医やからとか、偏差値上げるのが楽しいとか、そういう動機の人ばかりで構成されてそうな医者って嫌やな。


賢さって、どの程度?ITなど情報科学系で求められる賢さは、上位0.01%くらいだと思いますよ?医師になればたとえ「賢い層の中の凡人レベル」であってもそれなりにやっていけますが、情報科学系に進めてもその程度の凡人ならいずれ「退場」となります。また「若いうちが勝負」で数学者の道と似ており、潰しが利かない道のりでもあります。沢山の競争者が出るなら大変かな。