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マル経 〜もう死語なのかー

先週の日経に、「マル経」は死語に?という話題が出てました。マル経、つまりマルクス経済学のことですね。今の若い人に通じないだけでなく、検索エンジンでもかからない?ほんとだ。逆に「マル経」で掛かってくる「マル経融資」って、何?日経の話題はその後、チャットGPTに移ってしまってますが、う〜んそうだったの?です。


 我々の大学受験の頃だと、経済学部の教授たちは受験雑誌に「マル経」と「近経」に分かれて紹介されており、どちらの比率が高いかで革新的かどうかを暗に示唆していたものです。近経は言うまでもなく近代経済学のことで、ケインズなどの流れを汲むものです。しかし、我々の頃にはマル経はかなり分が悪くなっていて、東大などではどちらかというと少数派になってきていました。相変わらず多かったのは京大とか立命館大とかですかね。特に京大は第二次大戦前に法学部の瀧川事件があった反動で、戦後右派の教授達が退陣したことも大きかったでしょう。京大出身の有名な経済学者・森嶋通夫は近経派だと思いますが、もし森嶋さんが京都大学に残っていたとしても少数派の悲哀を感じたのでないでしょうか。しかし今マル経はほとんどの大学で姿を消し、近経の我が世となったようです。まあマル経を奉じた社会主義国がソ連の瓦解始め衰退著しいから当然と言えましょうか?


 しかし私前も述べましたように、文系の学問はよくわかっていません。従って経済学のこの2大流派(だった?)もよくは知りません。今調べますと、マルクス経済学が残っているのは、慶應とか大阪市立大(公立大)みたいです。元々マル経が主流とならなかった大学でまだ残っているのは、歴史の皮肉でしょうか?


追記:
読売新聞の「時代の証言者」で2023年5月現在、自民党政治家の伊吹文明さんが連載しています。保守派の論客として知られますが、蜷川府政など共産党が強い京都府政治界で長年活躍していたということは、それなりの見識が京都府民の支持を得ていたからでしょう。伊吹さんは京都大学経済学部に1956年入学していますが、案の定当時の京大経済学部の教授は「マル経」が多かったことに触れています。伊吹さん自身は少数派「近経」の青山秀夫教授に師事したと出ていますが、「戦前・戦中に統制経済に協力しながら、戦後豹変したマル経の学者に不信感があった」と述懐しています。そうですね、近衛文麿のブレーンだった「革新官僚」が主導した統制経済は、確かに社会主義国の計画経済と似たところがあります。これらの官僚が集まった企画院は後年「企画院事件」で、多くの官僚が検挙されました。しかしその中には戦後保守の親玉として活躍した岸信介元首相もいました。京大経済学部の教授達が彼らとどういう関係にあり、戦後どう豹変したのか興味があるところです。しかし伊吹さん、マル経が嫌いなら京大でなく東大経済学部に行けば良かったのに。まあ伊吹さんに限らず大学受験生は大学の内情なんてとんと知りませんから、仕方ないこととは言えますが。