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数学IIIについて 〜今大学受験はこうなっていたのか

鉄緑会に陰りが見え始めた理由 〜ほんとに陰ってきたの?
「新理系エリート」 〜鉄緑会の指定校今昔


予備校の東進ハイスクールで知られるナガセが、「今年東大理系各類に現役合格した受験生に、高校数学の全範囲をいつ終了したかをネットでアンケート調査した。」とニュースに出ています。私はものすごく驚いたのですが、なんと79.5%の合格者が「数IIIを高校2年までに終了した」と出ています。つまり約8割の東大理系現役合格者が高3になるまでに数IIIを終わらせ、1年間受験勉強に専念したと言っているわけです。本当か!


 私の出身高校は私立ですが受験進学校ではなかったので、高1で数IA, 高2で数IIB、そして高3で数IIICを勉強しました。というか公立中から高校受験で入ったので当たり前です。当然のことながら現役での大学受験には間に合わず、浪人です。僕らの頃は「一浪一波(人並み)」だったから、浪人は当然と思っていました(あの頃の駿台予備「学」校は隆盛期だったなぁ)。その後も受かるまで数学にまあ苦労しましたが、さすがに現在の受験数学がそういう状況になっていたとは全く知らずでした。子供達は中学受験で私立の中高一貫でしたから、学習進度が速かったです。ですから、そういう世界があることは無論知っていますが、東大レベルになるとそういう子しかほぼ現役で受からないということになります。Youtubeのネット予備校動画を見ていると、「数IIIは高1で終わりが当然でしょ。2年で終了なんて、それすら遅い。」なんて煽ってます。!!!本当か!


 こうなってくると地方の公立高校から東大に受かるなんて、余程天性の才能があり高校に行かなくても自学自習できるひとでないと至難でしょう。はっきり申しますが、東大や京大の入試問題は高校の教科書を勉強していても合格レベルには達しません。無論出題は学習指導要領の範囲ですが、問題はそこじゃありませんから。京大はそれほどでもないですが、東大では合格者数上位校が中高一貫校でほぼ固められてしまうのは当然でしょう。公立高だと都立日比谷高の50人台(現役・浪人合わせて)がこれからも限界でないかと思います。今都立高は基本全都1区制ですから、都立高生が束になって東大受験にかかってもそこまでしかいかないことになります。これしかし、健全な学習環境とはとても思えない。もし公立中から公立高校に入って上記を達成しようとしたら、1年間で数IA, 数IIB、数IIICをやることになる。ものすごく数学が得意だったら、意味の理解はできるかもしれない。しかし真に会得するのはまず無理でしょう。数IA, 数IIBと比べて数IIICは範囲は広くないけど、奥が深いです。


 インターエデュの掲示板には昔の教育ママみたいなのが大勢たむろしていて、「東大の合格だけじゃだめ。現役で合格することこそ重要」とかぎゃーぎゃー書いてますが、バカもいい加減にしろ!と言いたい(というかバカそのものですが)。そんな早取り学習をしていくことは、百害あって一利なしです。問題はかりにそれで一流大学に受かっても、そこは入り口に過ぎないこと。そこから先、出来る学生はさらにぐっと伸びていきますが、ヘンな先取り早取り学習に慣れていると、上っ面をかすって行く可能性があります。子供も通った「鉄緑会」も、「先取り学習が行き過ぎて、かえって生徒の将来的な伸びを阻害しているのでないか?」という懸念が予備校関係者でもなされています。何か日本の高等教育の入り口がヘンな方向に向かっていて、その結果でその先の日本の研究界もどんどこダメになってしまう悪い予感がしてきました。