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千葉大の学長選考1 〜大学の学長はどう決めるべきなのか?

千葉大の学長選考2 〜千葉大文学部の反応と学費値上げ
千葉大の学長選考3 〜学長候補たちと「白い巨塔」のモデル
千葉大の学長選考4 〜国立大学の受益者は誰なのか


昨年(2023年)11月2日、千葉大学長の中山俊憲氏が病死しまし。病因については公表されていないので詳細はわかりません。享年64歳でした。経歴をみると、

学歴

1978-1984年
山口大学医学部
1984-1988年
東京大学大学院医学系研究科修了(主任:多田富雄教授)


職歴

1988-1991年
米国国立癌研究所客員研究員(Dr. Alfred Singer)
1991-1994年
助手 東京大学医学部
1995-1998年
助教授 東京理科大学生命科学研究所
1998-2001年
助教授 千葉大学大学院医学研究院
2001-2004年
教授 千葉大学大学院医学研究院免疫細胞医学
2004-現在
教授 千葉大学大学院医学研究院免疫発生学
2005-2009年
千葉大学バイオメディカル研究センタ-長
2009-2015年
大学院医学研究院附属動物実験施設長
2012-2015年
未来医療教育研究センタ-長
2014-現在
未来医療教育研究機構長
2014-現在
千葉大学副学長(未来医療担当)
2015-現在
千葉大学大学院医学研究院長・医学部長

2021-現在 

千葉大学学長

となっています。学長に就任してわずか2年半でしたから、学長として手腕を発揮するのはこれからだったと思います。中山氏の研究課題は免疫学で

1 エピジェネティクな分子機構の解析と記憶細胞の形成と維持機構の解明、

2 アレルギ-性及び慢性の気道炎症の研究、

3 癌の免疫細胞治療の開発研究。

の3つを柱とし、特に1のメモリー細胞の探究を主体としていました。中山氏は大学院を東大医学部の多田研で過ごしております。多田富雄氏は千葉大医学部出身で免疫学を専門としており、サプレッサーT細胞の研究で有名です。多田氏は千葉大医学部教授を経て東大医学部教授に就任しましたが、東大医学部卒でない初めての東大医学部教授だったことも当時結構話題になりました。明治期の帝国大学創立期を除きますが、東大医学部は戦前から1977年の多田氏教授就任まで臨床・基礎とも長らく純血主義だったのです。しかしながら、その就任後数年してサプレッサーT細胞は存在しないことが段々と明らかになりました。このこともあってか、東大教授時代の多田氏はあまり明るくなかったようです。それはともかく多田氏の縁もあって、中山氏は出身校ではない千葉大に異動していったのかもしれません。


サプレッサーT細胞について(阪大サイトの坂口志文氏談から引用)


かつて免疫抑制の働きについては、サプレッサーT細胞というものが考えられていました。獲得免疫反応をもつある種のT細胞が、頃合いを見計らって免疫反応を終了させるのだという理屈です。1970年代後半には盛んに研究されていましたが、どうも実体が見つからない。それどころか分子生物学的にありえないとわかり、論議は雲散霧消してしまいました。


 さて中山氏の逝去を受けて、後任の学長選考に入りましたが、2024年1月26日にその結果が発表されました。千葉テレの引用です。

千葉大学は1月25日、次期学長候補に副学長で医学部付属病院長の横手幸太郎教授を選出したと発表しました

 千葉大学は25日、中山俊憲学長の死去に伴う後任の選考会議を開き、3人の候補者の中から次期学長候補として、副学長で医学部付属病院長の横手幸太郎教授、60歳を選出しました。

 横手氏は選出に当たって、談話を出しています。千葉日報からの引用です。

横手氏は記者会見を開き「中山学長がまいた種を育てて花を咲かせ、千葉大に大きな実りをもたらしたい。だれもが自分らしさを追求することができ、人を豊かにする魅力あふれる大学を目指す」と意気込んだ。

 また選出に当たっての経緯も千葉日報は紹介しました。

学長選考には横手氏のほか、副学長の山田賢氏と医学研究院教授の松原久裕氏が立候補し、教職員らによる投票と選考会議で決定。横手氏の学長就任に伴う次期病院長選考も今後行われる見込み。

 横手氏は兵庫県西宮市出身で千葉大医学部卒。内科学や内分泌代謝学、老年医学が専門。同大大学院医学研究院教授などを経て2020年4月から現職。


しかしこの選出に関して、疑義が出されました。Xからの引用です。


公示をみると、学内意向聴取結果で得票数が


松原 久裕 350
山田 賢 534
横手 幸太郎 446


だったのに、千葉大学学長選考・監察会議は横手氏を選考したと述べています。これに関して、X で数々の批判意見が示されています。

Komagome Takeshi

@KomagomeT

いま国立大学で起きていること。

教職員による投票は一種の「アンケート」でしかなく、簡単に無視される。

いくら金券腐敗政治とは言っても、国会議員選挙や首長選挙で2位以下のものが選ばれることはまずないはず…

だが、国立大学では当たり前のようにそうした不正が行われている。

凄腕の浪人

@11477935963a

言ってる先から『政治任用』が起こってしまった。

国立大学法人は国から補助金を受けているのだから国の方針に従って頂きたいと言っている文教族は『大学自治』をどう考えているのだろうか?

大塚

@sou1_otsuka

·Jan 27

法人化の際にルールが変わってますね。

但し、その時の説明で「これまでの選考ルールは尊重する。大学によって教授会での選挙や、学部・全学事務長も含めた選挙等違いがあるので、このように表現した」と言っていたのが、どんどん無視されて来ているって話ですね。

acalanatha224

@acalanatha2242

Jan 27


かつての国立大学では教授会の可決を得なければ、何も決まらなかった。一方、法人化後は教授会は意見聴取だけの機関。どちらも行き過ぎ。


但し、かつては学部長の努力で教授会を纏め、可決に導くことが出来た。今は問答無用の場合が稀でない。これは明らかに教員の意欲を削ぎ、教育研究の低下を招く。

Taco_kings

@Taco_kings

Jan 27


まあ、お金引っ張って来れる方になる動きはあるでしょう。仕方がないかと。


残念ですが、ここ20年で競争的公的資金やらもでかいプロジェクト優先で、配分の仕方が変わってきている感は否めません。

ぴよしこ

@_piyohiko

Jan 27


私の通っていた大学でも、何故か次点が学長に選ばれたことがありました。

独法化して間もない頃なのでもう15年くらい前の話ですが、今はどうなっているやら…

Albateen green

@GAlbateen

Jan 27


すごいな、、、

アンケートがやったふりなのを

ここまで全力でさらけ出してくるの

ホント振り切ってるな、、、


どんなに国民が選挙いっても

企業の裏金による集団票で潰されて

諦念が広がって政治に興味なくなっていくののめちゃ縮小版で分かりやすい

優路

@hsmt19


·Jan 27


欺瞞やん 学生にどう説明するのか

douraqu

@douraqu1

Jan 30


この手のデタラメは独法化前から教授会もさんざんやってきたことだから今さら感がある。デタラメの実施主体が教授会から文科省の木っ端役人に代わっただけだと。