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千葉大の学長選考5 〜開成会の陰謀?


千葉大の学長選考1 〜大学の学長はどう決めるべきなのか?
千葉大の学長選考2 〜千葉大文学部の反応と学費値上げ
千葉大の学長選考3 〜学長候補たちと「白い巨塔」のモデル
千葉大の学長選考4 〜国立大学の受益者は誰なのか


千葉大学長選はうつろいやすい世間の関心が下がっている気がしますが、簡単には決着しない雰囲気を感じます。


 ここまで私が書いた話をさらうと、
1 教職員意向調査で第2位だった横手幸太郎氏が、学長選について権限がある学長選考・監査会議によって次期学長に選ばれた


2 意向調査で第1位だった山田賢氏の所属学部である文学部(人文科学研究院)から、「説明責任を果たすべき」と質問状が提出された


3 意向調査で第2位の横手氏と第3位の松原久裕氏はともに医学部の所属である


4 横手氏は外部研究費獲得金額では学内有数の研究者で、山田氏・松原氏を圧倒している。しかし、同時に製薬会社からも多額の講演料を得ている


その後、以下のような展開がありました。


2月9日 NHKの報道から引用します。

千葉大の新学長選考めぐり 選考会議“適正に手続き進めた”

02月09日 17時07分


千葉大学では、中山俊憲前学長の死去のあと新たな学長の選考が行われ、先月25日、教員や学外の委員で作る「学長選考・監察会議」が、3人の候補者のうち現在、副学長で医学部附属病院長を務める横手幸太郎氏を「学長となるべき者」として決定していました。

しかし、教員などによる投票を行った「学内意向聴取」では横手氏は2番目の得票数だったことなどから、一部の教授会から、選考の理由や過程を説明するよう求める質問書が出されていました。

こうしたなか、「学長選考・監察会議」は7日付けで新たに文書を公表しました。

それによりますと、会議は学長の選考にあたって学内意向聴取の結果を参考とし、候補者の大学に対する考えや将来ビジョンなどを確認して総合的に評価したうえで、会議の委員による投票で過半数以上の候補者を「学長となるべき者」として決定しているとしています。

そのうえで、今回の選考でも適正に手続きを進めて審査し、横手氏に決定したとしています。

続いて千葉日報から抜粋して引用します。

千葉大学長選の波紋広がる 想定超す反発にHPで経緯説明 学生らの署名運動に7千人超賛同 人文科学研究院に加え教育学部教授会も質問書

2024年2月9日 05:00


選考・監察会議は7日付で「学長となるべき者の選考について」と題する文書を公表。文書では、国立大学法人法などの学長選考に関する規定を挙げた上で、同会議が「その責任と権限の下、主体的に選考することとなっている」と強調。「関係法令等にのっとり適正に手続きを進め、(中略)求められる学長像に基づき学長としての適性を審査した」などとし、選考の正当性を主張している。


これまで外部には非公表だった教職員ら約1400人の投票による「学内意向聴取」について、候補者3人の得票結果も公開。新学長に選ばれた横手幸太郎氏(副学長、医学部付属病院長)が、選考・監察会議で行われた無記名投票の結果、過半数の票を得たことも明らかにした。


学長選は1月25日に行われ、学内意向聴取で得票数が1位の山田賢氏(副学長、人文科学研究院教授)ではなく、2位の横手氏を選出。同教授会が疑義を唱え、同30日に質問書を選考・監察会議に提出したほか、教育学部教授会も「人文科学教授会の質問書に賛同する」として、今月7日付で質問書を提出した。


 学生ら有志が適切な説明を求めるオンライン署名運動も1月28日から始まり、8日現在で7千人を超す賛同者が集まっている。

学長選考・監察会議の結論は無記名投票によるものだったということで、説明責任の幕引きを図りたいのでしょうか?ちょっと無理でない?教育学部も疑義を呈しましたし、何と言っても代表的な受益者である学生の意見は重視しなければなりません


 続けて産経新聞から引用します。

千葉大学長選巡り、国際学術研究院執行部と理学研究院教授会も要望書 選考プロセスに反発

2024/2/20 13:06


千葉大学の新学長選出を巡り、一部の教授会が選考過程が不透明だとして反発している問題で、15日付で同大大学院理学研究院教授会が、16日付で国際学術研究院の執行部が、選考にあたった「学長選考・監察会議」に対し、それぞれ要望書を提出したことが20日、分かった。


要望書では現副学長で医学部付属病院長の横手幸太郎氏(60)を新学長に決めた選考過程の詳細の議事録公開などを求めた。

ついに千葉大の8つある学部のうち、実質的に4学部が疑義を発しました。千葉大においていかに医学部のウエイトが高いとはいっても、半分の学部が疑問を感じていることは無視できません。少なくとも学長選考・監察会議での、学長選に関わる議事録は公開すべきです。そこで真相がはっきりします。


 そもそも、今回教職員意向調査で、2名の候補者が医学部所属だったことは注目に値します。仮に推薦母体がこの2氏で違っていたとしても、医学部内で意思統一がなかったことは明白です。


ヤフコメに気になるものがありました。

jbx********1日前


これに関しては学内の意向調査ではなく、学長選考会議で決定されることは規約通りなんだから、何も問題がない。

本来、学長選考会議委員は、任期ごとに刷新されるが、前学長の急逝だったため、医学部寄りのメンバーだったことについては、仕方がない。


ただ単に、山田氏のプレゼン力や将来性の視野の狭さが問題。ただ頭お花畑な話しかしないからそりゃ落とされる。

一方で、横手氏は医者でMBA持ってて、プレゼン力や将来性が段違いだったとのこと。


問題は、医学部内で開成会が秘密裏に工作した方が大問題だわ

岸田総理もそうだが、なして開成出身者は実力はないのに権力だけは欲するのか。

このjbx*******は明らかに学長選の内情に通じていま。他にもコメント投稿をしていました。

きんのすけ2/9(金) 14:08


教職員ら約1400名による学内意向投票で2位だった横手幸太郎氏が、学長選考会議(学外の委員7名、学内の委員7名)の14名で無記名投票を行ったら過半数を得たと。千葉大学が発表した「学長となるべき者の選考について」という文章を読みましたが、横手幸太郎氏が学長に選ばれた具体的な理由は何も書かれてないですね。


学長選考会議の話し合いの中身を概括して公開するとか、各委員に理由を明記して投票してもらい内容を取りまとめて公開するなどしないといけませんね。投票結果だけポンと出すだけなら、学内意向投票も学長選考会議もどっちも人気投票でしょという話になってしまう。

というコメントに対して、こんな返しをしています。

jbx********


これに関してはね、山田賢先生の演説がトンチンカン過ぎて、選考会議ではねられただけなんだわ。

ただ、反亥鼻というだけで得票数稼いでただけだからな。

横手先生については、医者なのにMBA持って演説うますぎたから。


あと、医学部が分裂したのは、開成会の工作のせい。

*註 亥鼻(いのはな)とは医学部・看護学部と附属病院がある亥鼻キャンパスです。他の学部のほとんどが集中する西千葉キャンパスからは、かなり離れています。


 開成会とは開成高校卒業者が構成するOB会です。横手幸太郎氏は国立の東京学芸大学附属高校(学附)卒です。学附は1970年代以降2000年くらいまでの30年間、東大に毎年100人前後の合格者を出していた有名進学校です(今は後退しているが、それでもかなりの実績)。となると、開成出身はもう一人の候補者・松原久裕氏かな?と思って検索すると、その通りでした。M3のインタビューに応じていたので、引用します。

「本日は現在の松原先生に繋がる幼少期からのエピソードを伺います。ご出身は東京の下町とか?」


はい、台東区です。今はもう廃校になってしまいましたが、台東区立二長町小学校に通っていました。

〜中略

よく覚えていないのですが、小学校の卒業文集にはもう医者になりたいと書いていましたね。医者になりたいというか、「がんを治したい」かな。うちは医師家系でも何でもなくて、親戚一同、医師は皆無なのですが、がん家系だったので、そのせいかもしれないですね。

〜中略

開成がいいと思ったのは大運動会を見学に行ったのがきっかけですね。自分もこれに出たい!と思ったんです。勉強が好きだったので、受験は苦になりませんでした。でも入学したらやっぱり優秀な生徒が多くて驚きましたよ。小学校では、少なくとも勉強に関しては自分よりできる子はいなかった。でも開成では入学した頃は300人くらい同級生がいたら半分くらいの成績でした。

開成はよく比較される麻布や武蔵と異なり、東京の下町や埼玉から通う生徒が多い特徴があります。立地が西日暮里(山手線の東側、京浜東北線沿線)にあることが大きいでしょう。電車内でも開成中高の生徒は今時珍しい黒の詰め襟学生服、しかも黒ボタンなので、すごく目立ちます。

「そして医師になるという初志を貫徹し、千葉大医学部に進学されます。千葉大を選んだのはなぜでしょう?」


それは自分の学力と家の経済状況です(笑)かつての国立大学受験は一期校/二期校に分かれていて、私がその最後の代です。東京近辺の医学部だと、一期で東大・千葉・筑波、二期で群馬・医科歯科・信州のいずれかを選んで組み合わせることが多かったですね。二期は、スキーがしたくて信州大学を志望していました。


「受験時の思い出はありますか?」


昔のことですのでよく覚えていませんが、筆記試験を医学部近くの小学校の体育館で受けたことはよく覚えていますね。ずらっと、机と椅子をならべて、ものすごい人数が受験していました。ここでラッキーだったのは、開成の同級生がたくさん受験していたこと。緊張せずに済みました。結局10人以上合格して、いまでも仲良くしています。開成から千葉大医学部に進学する生徒は非常に多く、何年も1位だったのですが、最近は別の高校も頑張っていますね、ちょっと押されているようです。

その他、松原氏は千葉大医学部学生時代や第2外科入局後の思い出を語っていますが、省略します。


 首都圏以外の方はあまりご存じないと思いますが、千葉大医学部の入学者は開成出身が非常に多いです。県立千葉高はもちろん地場の公立名門校でこちらも昔は多かったですが、開成に圧倒されて久しいです。ところが近年、異変が起こりました。


千葉大学医学部開成会の記載です。

2018年11月15日 12時51分53秒 (Thu)

千葉大学医学部開成会が、9月24日(月=祝)、千葉市のホテルミラマーレで開催されました。


まず、徳久剛史先生(S42、千葉大学学長)のご挨拶がありました。


昨年4月に消化器内科の教授に就任した加藤直也先生(S55)から千葉大と東大という二つの大学の経験を踏まえたお話がありました。


今回の出席者で一番の先輩の鈴木秀先生(S36)の乾杯の後、新入学生の紹介がありました。


昨年、千葉大学医学部開成会が無かったので、昨年の入学者と今年の入学者の2学年分の千葉大医学部開成会への入会を承認しました。


今年の新入学部は6人で、40年近く続いた入学者1位の記録が渋幕に奪われてしまいました。

そう、松原氏が言う「別な高校」とは、近年進学実績で躍進著しい渋谷教育学園幕張高校、通称「渋幕」です。渋幕は新設校ですが、東大入学者数ではここ10年上位10傑に定着しました。2018年に千葉大医学部入学数で第1位になったとは知りませんでした。気になって2018年以降どうなったか調べましたが、開成と渋幕は死闘を演じています。勝負は五分五分か、若干開成が優勢でないでしょうか。


千葉大学医学部の出身高校




開成は長年だいたい10人以上をコンスタントに入れており、千葉大医学部の約1割は開成出身者と考えて良いです。個人的な印象になりますが、千葉大学に残る医学部OB教員における開成卒業生の割合はさらに高い気がします。開成生に開業医子弟が多くないからでないでしょうか。


 学長候補者に対する医学部教職員の票割れが教職員意向調査であったことは明らかですが、それが医学部内における開成勢の進出が影響しているとの見方は初めて聞きました。学校のOB会というと、慶應義塾の「三田会」が非常に有名です。色々な方面に三田会はありますが、特に経済界への影響力は大きいです(悪いですが、早稲田の「稲門会」など眼中にない)。しかし、三田会以上に日本の政治や経済の中枢に隠然たる影響を及ぼしているのが、「開成会」でないかと私は思っています。開成は東大入学者数では40年以上第1位を継続していますが、医学部だけでなく法学部や経済学部といった文系にもコンスタントに人材を輩出しています。医学部ばかりに集中する灘高とは全然違います。はっきり言いますが、医者はいくら頭が良くても、権力の座の中枢からはほど遠いですから(嗤)。


 開成というと、運動会の「棒倒し」が有名ですが、単なる学内スポーツ競技と言うなかれ。この運動会の練習で築いたクラスの一致団結が、卒業後の開成OBの結束力にも、相当な影響があると思っています。ちなみに同じ「御三家」と言われる麻布や武蔵には、そういう力はゼロ。皆てんでにばらばらで寧ろ遠心力の方が強く感じられます。今回の千葉大学長選挙の波乱には、底辺に医学部に集う開成卒業生の力が非常に大きくなってきたことが大きく関係していそうです。しかし前学長の中山俊憲氏を選んだのは、前々学長の徳久剛史氏です。外部研究費獲得で依然として第1位の座にいる徳久氏は開成OBとしても医学部内に大きな力を持っていると思っていましたが、そうでもなかったのでしょうか?謎が残ります。