gillespoire

日常考えたことを書きます

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

国際卓越研究大学(1) 〜どういう制度設計なのか

国立大学法人法改正が成立(1) 〜「日本が死んでいく」の意味
国際卓越研究大学(2) 〜なぜ東北大学なのか
国際卓越研究大学(3) 〜心許ないファンドの運用と政府の思惑
国際卓越研究大学(4) 〜国立大学法人法改正という陥穽



国立大学法人法改正で取り上げられた国際卓越研究大学は、今年度(2023年度)新たに定められたばかりの制度です。少し長いですが、文科省のサイトから引用します。

我が国においても、大学の機能拡張を推進する中で、大学が国際的な切磋琢磨を通じて研究力を向上させるという緊張感を持ち、世界トップクラスの研究者の獲得はもとより、次代を担う自立した若手研究者を育成し、活躍できるようにするための大胆な資源配分、研究時間を十分に確保するための研究者の負担軽減、大学の有する知的資源の価値化等に取り組んでいくことが求められています。

 このため、国際的に卓越した研究の展開及び経済社会に変化をもたらす研究成果の活用が相当程度見込まれる大学を国際卓越研究大学として認定し、当該大学が作成する国際卓越研究大学研究等体制強化計画に対して、大学ファンドによる助成を実施します。

つまり、欧米各国とくらべて大幅に不足している日本の大学の財政基盤を強化するということです。そのために新たに発足するのが、「大学ファンド」です。


この大学ファンドは、以下のような運用目論見と聞いております(Forbes掲載の伊藤隆敏氏の記事引用)。

政府は、世界に伍する研究大学をつくるため、10兆円の大学ファンドを設立して、その運用益を選ばれた大学(国際卓越研究大学、以下卓越大学)に配布することとした。10兆円を年平均3%で運用できれば、毎年総額3000億円になる。これを、例えば、5校に配布すれば、1校当たり600億円となる。22年度に東大は国から800億円の運営費交付金を受け取っていて、それを含めた経常利益は2664億円であった。仮に卓越大学になることで、600億円が配布されれば、国からの補助金が75%も増加することになる。ほかの収入も入れた経常利益の規模が23%増となることを意味し、かなりの効果を期待できる規模である。


3000億円もの巨額資金ですから、政府としても交付した大学が適正な使い方をおこなっているか、支援・助言をおこなう必要があるとして、下記のような設計をおこないました。

ここで出てくるのが、政府側のインターフェイスとしての総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)です。


 国際卓越研究大学で新たに設けられることになった下図の運営方針会議(合議体)には、必ず文科相が承認した外部委員を入れる必要があるとされました。


この外部委員の選定には、上の図式からみるとCSTIも関与すると考えていいでしょう。


さて2023年度この国際卓越研究大学の選定はどうなったのか?


まず、選定方法です。


この選定過程でもCSTIの存在がクローズアップされてきます。


そして2023年3月実際に申請をおこなったのは、以下の大学でした。