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秋咲きクロッカス 〜Crocus hadriaticus


皆様は秋咲きのクロッカスをご存じでしょうか?クロッカスの栽培種は普通春に咲く品種です。しかし秋に開花する種類があり、有名なのはサフランです。サフランの学名はCrocus sativusで、sativusは「完全な」と意味です。赤色をした雌しべからスパイスをつくりますが、サフランは料理に華やかな黄色と高い香りを添えます。なかなか良いスパイスですが、香料としてのサフランは収穫量が少ないために非常に高価です。そういう貴重さの観点からsativusという学名がついたのかな?ただ私は草姿としてサフランをあまり好きになれません。秋咲きの球根植物の多くはヒガンバナみたいにまず花を咲かせ、それが終わる頃に葉を伸ばしていきます。ところがサフランは最初からモサモサと葉を茂らせ、その中から花をのぞかせる感じでどうもすっきりしない。しかもその赤い雌しべはべらべらと花からはみ出してきて、ハシタナイ印象を受けます。


 ここに示すのはCrocus hadriaticusという種類の秋咲きクロッカスで、6,7年前に手に入れました。忙しくて手入れが行き届かず雑草だらけになってしまいましたが、今秋も可憐な白い花を咲かせてくれました。hadriaticusはネットで見る限り白色が基本種のようですが、紫がかった個体も見受けます。またsativusとも近縁という記載がありますが、かなり違うと私は思います。確かに開花時葉も少し伸びていますがわずかです。また雌しべは少なくともうちの個体は黄色です。一番気に入っているのは花容がクロッカスの中では大型な点で、「白いコップ」といった優美な姿をしている点です。


 原産地はギリシャで、文献で見る限りペロポネソス半島などに自生するようです。hadriaticus ハドリアティクスの名称由来ははっきり知りませんが、私は古代ローマの皇帝ハドリアヌス帝からでないかと思っています。ハドリアヌスは2世紀初頭の皇帝でローマ五賢帝の一人。トラヤヌス帝の後を継ぎました。トラヤヌス帝の時最大となったローマ帝国を治め、政治や文化に関して顕著な施策をおこないました。アンティノウスという美少年の愛人がいたことでも有名です。最近だとヤマザキマリのマンガ「テルマエロマエ」に登場しており、優雅で思索に富んだ皇帝として描かれています。またフランスの小説家マルグリット・ユルスナールが「ハドリアヌス帝の回想」(Memoires d'Hadrien)という小説を1951年出版していますが、その中でも優美なハドリアヌス帝が描写されているようです(有名な小説ですが、未読)


 ハドリアヌスという古代ローマ随一の伊達男の名称を冠したこのクロッカス、とても大切にしています。さっさと雑草抜かないと!