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封印されたウルトラセブン 〜スペル星人は被爆者侮辱なのか?

「不適切にもほどがある!」 〜ほんのり昭和テイストで草


ウルトラセブン」は所謂ウルトラマンシリーズの2番目ですが、もっとも洗練されたウルトラマンだったのでないかと思います。モロボシダンとアンヌを中心に俳優たちの演技も一級でしたし、何と言っても脚本には現代社会(当時の)への問題意識が投影されていました。放映当時あまり人気がなかったと言われますが、それは子供向けというより大人向けの作品が多かったせいでないかと、私は思います。


 さてかなり以前からこのウルトラセブンには現在放映されてない作品があると聞いておりました。それが第12話の「遊星より愛をこめて」です。簡単に作品内容を紹介します。wikiから引用します。

スペル星人は、母星におけるスペリウム爆弾の実験のため、その放射能で血液が著しく侵されてしまい、代わりとなる血液を奪うため、複数名が先行して地球に来訪した。目から怪光(破壊光線)を放つ。


当初は、地球人の女性を対象に採血機能と血液の結晶化機能を備えたスペリウム金属製の腕時計(装着した人間は白血球が減少して昏倒する)をばら撒き、地球人の血液を奪っていたが、女性の血液よりも子供の血液のほうが純度が高いことを知ると、対象を子供に変更する。新聞で子供を対象とした「ロケットの絵を描いて、宇宙時計を貰おう」というキャンペーンを展開し、子供たちに腕時計を大量に配布して血液を奪おうと企むが、新聞で異変を察知したウルトラ警備隊に計画を阻止され、自らのアジトを破壊して巨大化し、地球人の血液を奪うことを宣言する。


ウルトラホーク3号を撃墜するなど応戦するも、搭乗していたダンがウルトラセブンに変身し、一騎討ちとなる。セブンのアイスラッガーを一度は回避したが、ウルトラ警備隊に円盤を破壊され、逃げようと空中に飛び上がったところを、背後から二度目のアイスラッガーで両断され、絶命した。

ウルトラセブンの必殺技で倒されたスペル星人ですが、最初の放映後も特に問題なく、数年間再放送もされていました。しかし、その後そのスペル星人の様態が被爆とからまって問題視されたのです

1970年10月1日、小学館より出版された『小学二年生』11月号のふろく「かいじゅうけっせんカード」に「ひばくせい人」の別名がついたスペル星人が掲載された[19]。


1970年10月4日、前述のカードを見た女子中学生が、フリージャーナリストにして東京都原爆被害者団体協議会の専門委員でもあった父・中島龍興(筆名・中島竜美)[20]に相談し、カードに記載された「ひばく」の文言を問題視した中島は『小学二年生』の編集長に抗議の手紙を送った。中島がこの件を所属していた市民サークル「原爆文献を読む会」のメンバーに話したところ、メンバーは知り合いの朝日新聞の記者にこの問題を伝えた[21]。


1970年10月10日、朝日新聞に『被爆者の怪獣マンガ』『「残酷」と中学生が指摘』などの見出しとともに「実際に被爆した人たちがからだにケロイドをもっているからといって、怪獣扱いされたのではたまらないと思った」との中島の長女の感想や、「現実に生存している被爆者をどう考えているのか、子供たちの質問にどう答えるのか」との中島の抗議文などの記事が、小学館・円谷プロ両社からの正式なコメントがない中で掲載された[22]。

この後、中島は小学館を訪れ、当時『小学二年生』の編集長だった井川浩を相手に「机をバンバンたたく激しい抗議」を行なったとされるが、中島は後のインタビューで「当時 被爆者の差別が多くなっていた」と抗議の背景に触れたうえで「相当頭にきたんでしょうね。(中略)カードしか見てないのに、抗議というわけですから」「僕の抗議は著作権の問題でいうと2次使用を問題にしたということ。でもそれが広がってしまって、放送そのものへの抗議に発展しちゃったんです。はずみがついて運動が盛り上がってしまった」[23]「カードがなければ抗議はしなかったと思う 放送したTBSに抗議はしていない」「番組を見ずに抗議したのは大きな問題だった」「記事は少しオーバーと思ったが、直接抗議に行った」「私の投書が結果的に第12話を封印させてしまった 表現の自由を潰してしまったという思いがある 簡単に存在をなくすことは怖いことだ」などのコメントを残している[2

1970年10月21日、朝日新聞の記事を皮切りに全国に拡大した抗議活動により、『小学二年生』11月号だけでなく、カードと同様に「被爆星人」と記載のあった既刊の『怪獣ウルトラ図鑑』などにも矛先を向けられた円谷プロは、発行元としての配慮不足について謝罪した。被害者を怪獣扱いしたとの報道については、「原水爆を否定する気持ちと全く変らない態度で製作したものであります」「従いまして、一部の新聞が報じましたような被爆者を怪獣扱いしたとか、モデルにしたなど、そのような考えで製作したものでは毛頭ありません」と否定し、「今後一切、スペル星人に関する資料の提供を差し控える」と約束した[21]。再放送中の第12話の放送も急遽中止したことにより、抗議は一旦収束した[21]。


しかしその半年後、本編の二次使用作品である『ウルトラファイト』の再放送にスペル星人が再登場したことから、円谷側は再び謝罪に追い込まれ、解決策として第12話の作品自体を封印することを決めた、とされる

ウルトラセブンの他の作品ももうあまり再放映される機会がないですが、このスペル星人が出てくる「遊星より愛をこめて」はDVDなどを含め、まったく見ることができなくなりました。放映から50年以上経つ現在も公式には放映機会がありません。しかし、そこまで非道いことだったのか?です。スペル星人はお話の上で「被爆者」です。第二次大戦末期広島・長崎に投下された原爆で、見るも悲惨な姿となった被爆者が多数死んでいった事実を直視した作品でないかと思います。


 ウルトラセブンでアンヌ隊員を演じたひし美ゆり子氏が語っています。ハフポストからの引用です。

——12話が封印されていると知ったのはいつですか?


私が知ったのは、だいぶ後ですね。ファンの間でダビングを重ねて画質が悪くなったビデオテープを貸し借りしていたんですが、「ひし美さんにも見せてあげる」と送ってくださった方がいたんです。私自身は、封印された経緯を全く知らなかった。作品に関わった当事者は知らないんですよ。キリヤマ隊長(中山昭二さん)も亡くなる数年前に、電話で「アンヌ12話ってなんだ?観たいのだけど」って!

——実際に第12話を見返してみて、どんな感想を持ちましたか?


「みんなが騒ぐほど、何が悪いのかな?」とは思いますね。作品のメッセージとしては「原水爆は良くない」と風刺を込めた作品なのに、なぜ50年近くも封印されなきゃいけないのかな、と思いますね。


——ひし美さんにとって欠番になった12話は、どんな存在でしょう?


私だって、もう意地ですよ。12話は決して悪いものじゃないのに誤解されていると思います。私の目の黒いうちには絶対復活して欲しいと思っています。20年近く前、1997年にインターネットで個人のホームページを始めたばかりのころから、ずっと言っているんです。

実はごく最近ニコニコでこの作品動画が見られるようになっていることを知り、久しぶりにそれこそ54年ぶりに見ました。「これがそんなに非難される作品なのか?寧ろ放射線障害の怖さを教え、核兵器使用を考える問題提起として大きかったのでないか」と感じました。1970年代ころの過激な昭和時代を思い起こすと、かりに中島竜美氏が問題提起しなくても誰かが問題に火をつけた可能性が高いと思います。しかし中島氏の異常な興奮あるいは憤りが、その後社会現象に大きく影響したことも間違いありません。こういう主張の過激さが世を覆ってしまうことは今も珍しくありません。異常な過激主張は今も陰謀論などでよく起こるので、我々がよくよく注意すべきことでないかと思います。


 それにしてもウルトラセブンは社会問題についてよく考察された作品が多かったです。「狙われた街」で登場したメトロン星人もそう。

地球征服を目論むメトロン星人は、宇宙から持ち込んだ薬物をタバコに混ぜ、ひそかに流通させる。このタバコを吸うと、人は幻覚に襲われ、前後不覚となって大暴れしてしまうのだ。暴力事件を続発させたメトロン星人の狙いは、これによって人間同士の「信頼関係」を失わせること。そうすれば、武力を使わずとも人類は争い合って自滅し、やすやすと地球は自分たちの手に入る――。

メトロン星人がモロボシダンと夕陽を浴びながら昭和風情たっぷりの居間のちゃぶ台で対話するシーンばかりが有名ですが、これ覚醒剤の危険性を扱った作品と私は理解しています。



覚醒剤中毒がひどくなると、幻聴や妄想など統合失調症のような症状がひどくなります。その結果、殺人のような粗暴事件などもよく起こり、その最たるのが1981年の「江東区森下通り魔殺人事件」だと思います。1970年代から顕在化した第二次覚醒剤濫用の時代の到来を予見したような作品に、私は感じています。




 「ウルトラセブン」今思い出しても、まことに社会ドラマ風の重厚な作品が多かったと感じます。そして第二次大戦後も続いた荒々しく粗暴な昭和時代が、色濃く投影されていました。