gillespoire

日常考えたことを書きます

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

ジョウロウホトトギス 〜牧野富太郎が愛した花


(上記写真は「趣味の園芸」から)
NHKの朝ドラ「らんまん」、ごくたまにしか見ない(出張時の朝)ですが、とても良いドラマでないでしょうか。中でも植物好きにはたまらないと思います。昨日(7月14日(金))の冒頭は、ジョウロウホトトギスの挿絵を描く話でした。
*すみません、「らんまん」」を間違えて「まんてん」と書いてました。暑さのせい?


 ジョウロウホトトギスはホトトギスの仲間ですが、そもそも植物のホトトギスを知らない人がほとんどでしょう。林下の日陰に生える多年草で、ユリ科の植物です。秋に咲く6弁の花の色彩パターンが鳥のホトトギスの胸毛に似ているということで、命名されました。育てやすい植物で、園芸品種も含めていろいろあります。公園などでもよく植えられていますが、紫色を中心とした割合地味な配色なので、気づかない人も多いでしょう。多くは紫色中心で白花もありますが、黄花を咲かす一群があります。自分が栽培した経験だと、タマガワホトトギス、矮性のタカクマホトトギスがありますが、これらは暗いところでも目立つ花色です。その黄花群の一つがジョウロウホトトギスです。


 しかしジョウロウホトトギスは他のホトトギスと決定的に違う性質があり、草姿が下垂性なのです(他は立ち性)。春芽が伸びて来るとやや斜め方向に上を向いていますが、やがて段々と下へ下へと草姿が枝垂れていきます。10月くらいになると葉の付け根近くに花芽が膨らんできます。ジョウロウホトトギスの場合つぼみも下向きなので、そのぽってりとした膨らみがまことに好ましい。そして花が開くと、「まんてん」でも述べていたように、赤紫色の斑点が散る花弁の内側が見えて来ます。このホトトギスが自生する場所は残念ながら見たことがありません。しかし植物図鑑を見ると、滝沿いの日陰の崖などに群生しています。関東だとイワタバコが自生するような環境と思えます。


 まことに美しい花です。僕が最初にこの花を知ったのは、中学時代に読んだ山野草の本で、その本でも絶賛されていました。「ジョウロウとは上﨟の意味で(上級の御殿女中)、上品な花容を讃えたものだろう」と書かれていました。どんな花なのか知りたくて、早速通販で「キイジョウロウホトトギス」を購入しました。ジョウロウホトトギスには大きく「土佐」と「紀伊」の系統があり、それぞれ高知、和歌山を指します。牧野富太郎が見たのは「トサジョウロウホトトギス」だと思いますが、後年栽培した経験だと草型がキイよりやや大きく、また薄く毛が生えています(キイは照り葉で毛が少ない)。僕はどちらかというと、キイジョウロウホトトギスの方が好きですが、どちらも園芸品種に負けないくらい美しい花で草姿も愛らしいです。そして栽培も難しくないです。マンションでは暑すぎるので今は育ててないですが、機会あればまた作ってみたいですね。