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「海がきこえる」 〜懐かしい1980年代の風景

読売新聞に「氷室冴子に再評価の声」といった記事が出ていました。

ページをめくれば 青春がそこに…氷室冴子さん 著作復刊相次ぐ


うーん、名前しか聞いたことがない。コバルト文庫は一冊も読んだことなし。この年になって今更青春も高校生もあったもんじゃないけど、死ぬまで1回も読まないのも癪だから、今度何か買って読むか。


 その記事でも紹介されているジブリでアニメ映画化された表題の「海がきこえる」も、名前しか聞いたことがない。映画でなくテレビ放映の作品だったことも初めて知りました。まあこれなら気楽に観られると思って、早速アマゾンで購入。


 昨夜寝る前に観ました。高知の私立中高一貫校に高2で東京から途中編入してきた「武藤里伽子」という少女。その子に惹かれていく杜崎拓とその親友の松野。観ていて面白かったのは、これでもかというほど出てくる土佐弁。私も高知出身の友人がいたので懐かしい。その友だちと旅行で高知に行った時に強烈に聞かされた土佐弁の数々を思い出しました。


 ストーリーはたわいないもので、その女子高生が連休中に家出して離婚して東京にいる父親に会いに行く話が中心で、最後に吉祥寺駅で大学生になった里伽子と拓が再会するシーンで終わります。この最後のシーンは、昔どこかで見たな。


 父親が住む成城学園は私も親戚がいたから懐かしく思ったけど、そこからいきなり西新宿の京王プラザホテルの宿をとってくれるのか。父親がどういうわけで高知出身の母親と知り合ったのかわかりません。でも高知では果樹園経営どうこうで裕福な家という設定を見ると単なる農家じゃなくて、「郷氏」の出自かな。土佐の「郷氏」とは戦国時代長宗我部に仕えた武士たちで、徳川時代になってやってきた山内家とその家臣たちに押しやられて半農になった階級です。実は私の高知の友だちもそういう出自で、実家に行ったら山のてっぺんにある広大な敷地でびっくりしました。高知の女は「はちきん」。その片鱗がうかがえる強気の女子高生たちの喧嘩シーンもありました。


 しかし、学生なのに武藤里伽子も杜崎拓も吉祥寺に下宿とは、金持ちなのかね(里伽子は金持ちか)。検索すると、里伽子は東京女子大、拓は日大芸術学部(日芸)ということらしい。しかし「日芸」は吉祥寺からだと新宿〜池袋でさらに西武線だから、かなり遠距離で苦しい想定。里伽子は「東女」(とんじょ)だと特快でない限り拓と同じ東京行きの中央線ホームでもいいはずだが?ICUでは?という話もありますが、総武線各駅は隣の三鷹駅が終点で、そのさらに西の武蔵境駅には行かない。従っておかしい。「松野」はどうみても京都大学進学でしょう。


 舞台の中高一貫校は「土佐塾」か「土佐学芸」かと思ったけど、土佐高校らしいですね。確かに昔の風景を検索すると、それっぽいです。


 氷室冴子は随分前に死んでいたのですね(2008年肺がんにて死去)。北海道・岩見沢出身で北海道育ち。なのに高知を舞台にした青春小説というギャップがおもしろかったです。私は北海道にも縁があるので、少し読んでみるか。


追記:主人公達の進学した大学


ビデオをもう一度見直したところ、冒頭の吉祥寺駅での拓と里伽子の出会いを見間違っていました。拓は総武線各駅ホームにいて、里伽子が中央線ホームで「下り」の快速に乗るところを見ていました。里伽子が登校時と考えれば西荻の東女は逆方向で(そもそも電車に乗る距離か?)、三鷹以西の大学で私立となると、やはりICUか津田塾あたりでしょうか(当時の津田塾女子大は早慶並みの難易度だった)。でも東京の高校時代から彼氏がいた里伽子の性格からすると、津田塾みたい女子大よりは共学のICUかな。一方、拓がいた総武線各駅ホームには、相互乗り入れする地下鉄・東西線の上り列車が入線するところでした。拓が高知に帰省した時、空港まで迎えに来た松野が運転する車で「神宮球場」の話題を振るところをみると、東京6大学に在籍とみるのが妥当です。東西線に乗れば「早稲田」まで乗り換えなしで行けるので、拓の進学先は「早稲田大学」で決まりでしょう。