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Demi-monde 〜叩かれるデヴィ夫人に林真理子が言いたいのは

暑い!関東でも内陸の暑熱は今最高潮で、仕事場に着くと汗だくです。


 行きの電車で昨日の日経夕刊を読むと、一面のコラム「明日への話題」で林真理子が書いていました。林真理子さん、日大の理事長として伏魔殿「日本大学」に丁々発止と切り込みながら、作家としても十分な活動をされる。「超人」といっていいでしょう。


 パン屋に行ってデミ・パリジャンを見て、デミ・モンドを思い浮かべる。やや苦しいこじつけ展開ですが、読むと後への伏線を張ったとがわかります。しかしこれはフランス語だから、ドゥミ・モンド せめてドミ・モンドと書いてほしい。林真理子は「ヨーロッパ社交界は夫婦で参加が原則だから、紳士しか出席しないのは世の中の半分となるからdemi-mondeと名付けられた。」と書いていますが、そうかな?鹿島茂がそう言ったと書いているが、私の理解は「夜の世界」の意味での「半分」です。はっきり言いましょう。「娼婦の世界」ですよ。しかし「紳士はデミ・モンドに出席する」のかあ。売買春も紳士の義務だとしたら、めんどい世界だな。林真理子は「ドゥミ・モンドに」生きたデヴィ夫人の生涯について、本を書いてみたいそうですよ。


 デヴィ夫人が好きか嫌いかと訊かれたら、私は嫌い。なぜなら僕は「偽善者」だから。建前論大好きで、世の悪行を許せない(嗤)。そんな正義心が強い私に「世の本当のこと」を得々として教えてくれる御仁がいたら、逆上してココナッツクラッシュ!


 ジャニー喜多川が所属タレントに性行為を強要して今訴えられていることに、デヴィ夫人はこうツイートしたようです。

デヴィ夫人は18日にツイッターでジャニー喜多川氏の問題について、「特別な世界、関係性というものはある」と指摘。「昨今の流れは偉大なジャニー氏の慰霊に対する冒涜、日本の恥である」と苦言を呈し、被害者の告発を「死人に鞭打ちではないか」「本当に嫌な思いをしたのなら、その時なぜすぐに訴えない」と問題視していた。

スミマセン、原文を読む気にならないので、マスコミ記事の転載です。しかしもう、世間から散々な叩かれようです。性的暴行被害者に二次被害を与える、日本の後進性を世界に暴露する恥ずかしい愚言だと。

ネットでもデヴィ夫人のツイートについて、

《世界を敵にしたという事を理解出来ていない様に思います》

《聞く耳を持てる人がいるのならなんとか諭して被害者に謝らないと。テレビなんか出なくてもいいと考えているかもだが、表舞台に立てなくなると思うよ。国連からも叱られてたしね》

《これは他国の報道機関から指摘された問題でれっきとした大事件のはず》

 と、指摘が相次いでいた。

そうです。


 デヴィ夫人が日本人としての本名「根本七保子(なおこ)」として何を仕事にしたかといえば、「売春婦」です。売春婦としてキャバレー「コパカバーナ」に出入りし、主に外国人の金持ちから荒稼ぎする名うてのコールガールに。そして、そこに来日したインドネシア大統領スカルノが来て、結果として「愛人」としてインドネシアに「お持ち帰り」。そしてスカルノの第三夫人になって一挙に爆上げしたのに、クーデタでスカルノが失脚したためあっという間に凋落。インドネシアにいられなくなったデヴィ夫人はパリ社交界に「デビュー」して、「東洋の真珠」ともてはやされたと。真珠って人肌の例えとしてよく使われるんだよね(「エーゲ海の真珠」ちゃららららぁ♫)。要するにまた元の売春婦稼業に戻ったよと言ってるのです。1970年代「パリ社交界から日本に戻ってきた」という触れ込みでデヴィ夫人は日本で活動開始。パリ社交界ねえ。自分がフランスに行って知ったけど、確かに上流階級というか金持ち階層はいます。しかし貴族的あるいはブルジョワ的社交界は、今のフランスに存在しない。デヴィ夫人はまさしく「demi-monde」から戻って来た人物なのです。


 なのにテレビの中では、今もデヴィ夫人は「パリ社交界帰りのセレブ」としてもてはやされて大活躍。去年はNHKの「ファミリーヒストリー」にも出演してましたが、何という美化!「ファミリーヒストリー」では、頭が良い女の子根本七保子は貧乏のため高校を中退して働かざるを得ず、しかし持ち前の回転のよい頭で海外からの国賓にも愛されるようになり、大出世したということでした。典型的な「偉人の出世物語」でした。けっ!どうしようもない売女(ばいた)を何持ち上げてる?白々とした気分で見終わりました。しかし、あの番組に付き合わされて出演した小学校時代の同級生というじいさん、ばあさん達は、何かおどおどして落ち着きなかったな。どしたの?


 今回のデヴィ夫人のジャニー喜多川擁護は、要するに「私だって生きるために、体を張って(=売って)きたんだ。オマエラも同じだろーが!金稼がせてもらったんだから、つべこべ言うな。」ということでしょう。どうしようもないゲス女ですね。ココナッツクラッシュ!しかし擁護する声もかなりあるようです。そのゲスイ支持層がどの程度デヴィ夫人を理解しているかわかりませんが、「デヴィ夫人は日本に捨て石にされた女」だと思います。スカルノがあふれる性欲で根本七保子をお持ち帰りしたが、お陰様で日本は第二次大戦中ついに手にすることができなかったインドネシアの資源権益に、ありつけたのです。インドネシアは独立闘争こそめざましかったものの、その後はずっと腐敗した汚職社会で賄賂が横行しています(今も!)。そもそもスカルノ自身がそうだった。日本の政府や企業はその石油などのインドネシア天然資源の権益にありつくため、賄賂を送る相手捜しにデヴィ夫人を積極的に利用しましたところがスカルノが失脚するや否や、掌返し!日本に帰国を希望するデヴィ夫人に「お前はもはや日本人ぢゃない」とすげなく拒否した日本の外務省。新しいおかしらのスハルトの顔色をうかがったのです。デヴィ夫人の「パリ社交界デビュー」は、日本政府が強要したも同然なのです。私は外務省の人間も知ってますが、大概は茶坊主みたいに政府や世間体を気にするやからばかり。「日本の国益に貢献してる」と思ってるらしいが、庶民に対しては上から目線もはなはだしい。気骨がある外務官なんて自分は見たことがない。こちらが大枚はたいて納付している血税のムダ遣い、金返せ!と思っています。


 日大の立て直しで今奮闘する林真理子は、日本に見殺しにされたデヴィ夫人の人生に大いに興味があるのでしょう。転ばされてもただでは済ませないデヴィ夫人は、石にかじりつくが如くのしぶとさで人生を駆け抜けた。ちっちぇ巨悪「日本大学」より、でっけぇ巨悪「日本政府」を相手に図太くしたたかに生きた女の正体を暴くことに、「作家」としての林真理子は関心を持っているんじゃないかな?


追記:
1964年の東京五輪前日の10月9日にはデヴィ夫人は大統領夫人として来日しましたが、結局インドネシア選手団は不参加となり同日離日しました。この辺もどういうことがあったのか、林真理子が取り上げてくれると嬉しいです。