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大阪大学・微研の研究不正と自殺(2006年) 〜私の感想

大阪大学・微研の研究不正と自殺(2006年)1
大阪大学・微研の研究不正と自殺(2006年)2
大阪大学・微研の研究不正と自殺(2006年)3


先ほどのブログでは久しぶりにこの事件を思い出して、怒りが炸裂しました。しかし、私が杉野氏の立場だったら、部下を死に追いやってしまった、家族に顔向けできない、自分はもう生きるべき存在でないと思うでしょう。そういう意識で恬として恥じないからこそ、平然としてああいう意見書を出せるのでしょうが。


 小保方晴子もそうですが、悪い意味での自己愛が強烈で、自己愛型人格障害といっていいでしょう。しかし、こういうヤカラは大学の教員にかなり多いです。一般社会とくらべてどの程度多いか?と言われるとはっきりしませんが、実感として10倍くらい多いかな。特に理系の基礎研究、医学部の基礎医学講座や生命科学系の講座の研究者での率は高いです。最近、研究費獲得の競争が激しくなり、そういう人物が残りやすい環境が醸成されているからだと思います。


 杉野明雄氏は名古屋大学理学部の卒業で、分子生物学研究施設教授だった岡崎令治氏の弟子の一人です。岡崎令治は「岡崎フラグメント」の発見で有名で、今でも分子生物学の教科書の最初の方でDNA複製のところにその名前が燦然と輝いています。日本の分子生物学で確実にノーベル生理学医学賞を受賞したはずの研究者ですが、惜しいかな44歳で早世しました(1975年)。急性骨髄性白血病で、急逝されました。生まれが広島で第二次世界大戦末期の原爆投下で被爆していたのが、原因とされています。ちなみに慶應義塾大学医学部分子生物学教室の教授だった清水信義氏も岡崎令治の弟子のひとりです。岡崎研は若いひとが集まり非常に活気がある研究室だったようですが、同時になかなか厳しい研究室でした。岡崎令治氏自身が「弟子で20人に1人も研究者として残ればいい」と発言したと聞きます。こういう環境はうまく回っている時はいいですが、そうでないとアカハラが生まれやすいと言えます。岡崎令治氏は研究者としては一流だったといえますが、教育者としては適切でなかったのでないかと私は諸々の状況からそう考えます。


 まあそれでもいいではないか、良い仕事をしたんだからというひとも結構いるでしょう。私が思うに、高度成長期の日本は活気がありましたが、異常な興奮の時代でもありました。第二次世界大戦の前の日本は軍国主義が高まっていく時代でしたが、その強圧的な姿勢や責任転嫁で弱い者を責める悪弊は、第二次世界大戦末期で顕在化しました。典型的なのがインドを目指したインパール作戦や沖縄の地上戦だと思います。しかし敗戦になってそういう雰囲気が消えたのではなく、実は高度経済成長という型に衣を替えてその精神は存続し続けたのでないかと僕は思います。考えてみると陸軍中将としてインパール作戦を強行し、多数の日本兵を死に追いやった牟田口廉也は戦後ものうのうと生き、自己弁明の文書を配って戦中の行動正当化を図り、1966年ようやく死んでくれました。そういう異常な精神主義は物事がうまく回っている成長期にはいいのですが、そういう成長を望めなくなった時一挙に悪い側面が顕在化します。ここ30年の日本とはまさにそういう時代であったと思います。今後それがどう変わるのかわかりませんが、こういった研究不正の続発はまさに高度成長期の日本の終焉を象徴していると思います。杉野明雄氏のみっともない弁明書が、牟田口廉也陸軍中将の戦後の弁明にそっくりなことから、そう感じました。


追記:
川崎泰生氏の死に関して、京大理学部の関係者と思われるひとの記載があったので、転載します。

mixiユーザー

2006年09月29日 02:27

9月4日、私の元に訃報が届きました。

大阪大学で助手をされていた修士課程時代の先輩がなくなったということでした。

研究室で「服毒自殺」ということになっていました。


皆さんご存知のことと思います。

大阪大学・杉野明雄教授の研究室での出来事です。

なくなられたYKさんは、京都大学理学部を卒業、理学研究科生物物理学専攻で学位をとられた、私たちの先輩です。


亡くなられた先輩は、杉野教授にデータを勝手に使われ、しかもその一部を改ざんされ、勝手に著者に入れて論文を投稿されていました。掲載された論文を見て気づき、調査を依頼していたそうです。これは当然、直接上司である教授の耳に入っていたはずで、このような非常識をする教授がどれほどのパワーハラスメントを仕掛けたのか、想像することすらできません。先輩のなくなられた日が、まさに杉野教授が出張から帰った直後だったということからも、杉野教授からの想像を絶する圧力があったことは容易に想像できます。


ねつ造に関しては、少なくとも2報について、杉野教授自身が認めたそうです。

それを受けて、大阪大学は杉野教授に懲戒解雇を通告、「本人による不服申し立てが無ければ決定」だそうです。

ねつ造に対して、このような処分が決定されるとしたら、一歩前進ではあります。


しかし、なぜYK先輩は死んだのか、
教授が出張から帰った直後に死ぬことになったという状況は、明らかな因果関係があると思われるのだが…証拠はまだ無い。
そして、阪大の公式発表では、「助手の自殺と教授との関連は認められなかった」。


つまり、懲戒解雇はねつ造に対する懲罰だが、パワーハラスメント・アカデミックハラスメントに対するジャッジではないのです


そして、そこが未解決のまま終わるのであれば、杉野教授の懲戒解雇も、結局は大阪大学という組織の尻尾きりにすぎないのかもしれません。


YK先輩は、絶対に自殺者タイプではありませんでした。
また、自殺する動機もありません。
にもかかわらずこの事件は、パソコン内に「遺書」があったというだけで自殺と断定されているようです。
警察も、これ以上動く気配はありません。


そこで皆さんにお願いです。


研究にかかわる方々、大阪大学に関係する方々、大阪府警に関係する方々などの間で、この事件を話題にしてください。
大阪大学や大阪府警が、もう少しちゃんとした捜査をおこない、YK先輩の死にかかわる杉野教授の道義的責任を明らかにするよう、ほんの少しずつでもプレッシャーをかけていただけませんか。

腹立たしいのは、NHKなどの一部のメディアが、教授ではなく亡くなられた先輩が捏造に関与していたかの報道をしていたということです。 決してそうではないことは、大阪大学の発表からも明らかです。誤解されている方がおられましたら訂正しておいてください。


パーマネントの大学助手というと、不安定な契約の多い昨今では非常に恵まれた職のように思われることが多い。旧帝大となるとなおさらでしょう。
しかし、現実はそうそういいことばかりではありません。
問題のある教授などという人種と、逃げ場の無い研究室の中で長くつきあい続けるのは、大変なことなのです。


往々にして、問題のある上司ほど、うまくいかない原因を部下に押し付けます。日本の自殺者の何割が、このような上司に追いつめられてのものなのでしょうか