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「過ぎていた読書適齢期」 〜ショーゲキを受けるワタクシ

岸本葉子さんというエッセイストは、日経夕刊のコラムでしか知りません。著作は一冊も読んでおりませんが、この日経コラムはいつも興味深く拝読しています。

退職したら読書をしたい、と知人は思っていたという。仕事と関係ない本を、時間にしばられず好きなだけ読みたい。勤めている間、読むのは資料ばかり。家に帰ると睡眠時間の確保でせいいっぱい。このままでは内面が痩せ細り、人間として「さすがにマズイのでは」と不安だった。

これ、すっごくよくわかります。私も岸本さんとそう変わらない年齢ですが、とにかく忙しい。あれも読みたい、これも読みたいといろいろ本を買いますが、なかなか読み切れていません。もうちょっと仕事が忙しすぎる!いっそ、早くリタイヤして読書三昧にしたいと夢想します。ところが、岸本さんはこの知人の衝撃的な顛末を言います。

ようやっとゆっくり本と向き合ったところ……何か違う。若いときのようには読み進められない。少しめくっては飽き、凝った肩を回したり、スマホに意味なく手を伸ばしたり、休み休み。そうこうするうち眠くなり、気がつけば本に額がつきそうになっていた。

そうなのか!!

集中力が落ちていることに、がくぜんとしたという。同じ姿勢をとり続けるのが、体力的につらくなってもいるかもしれない。読書を「疲れる」と感じたのは生まれて初めてだった。老後の楽しみだったのに、できる時が来たら、適齢期は過ぎていたと。

私も最近読書のスピードがやや落ちているのでないかと感じることがあります。また読んでいると「寝落ち」して、本を落っことしたりすることもありました。今までは、「忙しいから疲れていて集中力が落ちているのだ」と思ってました(正確には、思おうとしていた)。しかし、そうじゃなくて忍び寄る老化のせい??


岸本さん自身も自覚があるようです。

その種の本は読む速度がほんとうに遅くなっている。学生時代なら2時間あれば読めただろう本も「え、まだ4分の1?」「あと半分以上もあるの?」。休み休みを通り越し、息も絶え絶えである。

集中力の一様態かと思うが、記憶力の低下も甚だしい。「この人名、たしか初めて」「そんな、説明なしにいきなり言われても困る」と首をかしげたり憤慨したりし、念のためめくり返すと、数ページ前に出てきたばかりで、しかも傍線まで自分のペンで引いてあるから、救いようがない。

1日1ページで教養が身につく的な本が売れる理由がわかる。危機感はあるけど集中力の持たない人に「1ページだったら私にも読み通せるのでは」という気を起こさせるのだ。それを毎日必ずできるかとなると、また別の持続力が問われそうだが。

結局岸本さんは、ジムに通ってダンスばかりに関心を寄せ、暇さええあればレッスン動画とかスマホで検索してたのが良くなかったと結論づけています。

一計を案じた。ジムへの行き来をはじめとする電車での移動時間を読書にあてる。小刻みな乗り換えもあり、落ち着かず、集中は難しそうに思うが、逆転の発想といおうか。

〜中略

この方法が私に合っていたのか、読書時間はV字回復の傾向にある。適齢期は過ぎているとしても、なんとか伸ばしていきたい。

ううむ、読書力が回復したのは慶賀の至りですが、本当かね?なんか、こじつけっぽいなあ。そのうち、電車内ではたと気づけば本を取り落としているということになるんじゃないのかなあ。


「命短し、恋せよ乙女」じゃないですけど、定年になるまで趣味を後回しにするのは良くないと自覚しました。若くないのだから、仕事はもう適当なところで折り合いをつけ、読書の時間を小出しでいいから増やしたいと思いました。そういえば、恩師の准教授の先生、定年で辞める時、「これからは趣味の模型電車に没頭するつもりです」と言っていましたが、定年後1年足らずで肺癌が発覚し、1年経つか経たないうちに亡くなりました。


「いい〜のち、みじかぁ〜し、こいせよおとめぇ」(ゴンドラの唄)