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諦めることで道は拓ける 〜出口治明さん

0から学ぶ「日本史」講義―古代篇 気楽に読める歴史随筆
「リーダーの育成などできません」 〜再び出口治明さん
「置かれた場所で咲きなさい」1 〜渡辺和子氏の生涯


少し前になってしまいましたが、4月23日日経の日曜版に出口治明さんが出ていました。その表題が「諦めることで道は拓ける」です。


 出口さんは以前紹介した日本史の随筆の著者です。そこでも書いたように、2021年脳内出血で倒れ、そしてリハビリをおこなって立命館アジア太平洋大学(APU)の学長職に復帰しています。小さい頃からできる子供だったようですが、中学生になるとどうしても「県で一番になれなかった」と書いています。僕も高校受験の頃に模試で県下の成績が出ましたが、そんな高順位なんてまったく縁がありませんでした。すごい!


 「どうせ一番になれないなら好きなことをして楽に生きていこう」ということで、京大法学部に入ったと述べています。うーむ、ちょっといやみに聞こえるのでないかな?(苦笑)しかしその「精神的に流される生き方」で、思いもよらぬ方向に人生は拓けていったと言います。在学中に司法試験に受からず、ニッセイへ。社長交代にともない、ニッセイを左遷されてビル管理会社に。そこで有り余る時間を使って本を読み、60歳にして新しい保険会社の創設に加わり、さらに大学に転身。ようやく自由闊達になれたと思ったら脳出血で倒れる。


 「なんか、あまりついてない人生だな」と思うのが普通の人でしょう。しかし出口さんは「諦めること」を知ったと言います。出口さんの「諦める」は普通の意味のギブアップでないと言います。「前と同じようにするのは諦めて、出来ることをしよう」ということのようです。右手を動かすのが難しいなら、左手でこなそう。


 出口さんのバイタリティの源は「読書」にあるのでないかと思いました。読書は単なる暇つぶしとなるだけでなく、冒険の世界への誘いです。居ながらにして時空を超えていくことができましょう。そういう仮想世界での経験が、ひとを強くし、かつ柔軟に可能性を追求させるのだと思いました。出口さんの考え方は、渡辺和子さん「置かれたところで咲きなさい」に似ています。ご存じの方も多いと思いますが、渡辺和子さんは226事件で暗殺された陸軍教育総監の渡辺錠太郎の娘です。和子さんは自分の父が蜂の巣状態で撃ち殺されるのを目撃しました。極限の世界を生き抜いた方たちの哲学が到達できる境地でしょうか。