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チェルノブイリ原発事故とNHKラジオ英語会話

ロシアのウクライナ侵攻がいったいいつまで続くことなのか、占領地で強制的におこなわれている住民投票の話を聞くと、心が暗くなります。核兵器の使用可能性をちらつかせてウクライナを脅すのも卑怯な態度ですが、既存の原発に対しての攻撃もまことにリスクが高い行為です。1986年4月にあったチェルノブイリ原発事故の重大な結果を、現在のロシア共和国は一体どう思っているのでしょうか?


 チェルノブイリ(以下ウクライナ語表記に従ってチョルノービリ)原発の事故は、日本では青天の霹靂でした。当時のソビエト連邦はこれほどの重大事故にもかかわらず、一切報道しませんでした。事故後2日にスエーデンの原発で放射線の異常数値を検出して、初めて事故が発覚しました。Wikiを見ると、この時の事故のすさまじさと共にソ連の対応がいかに拙速だったか、改めて驚きます。福島原発事故と比べても、影響範囲の広さや健康被害の深刻度はとても大きいものでした。ヨーロッパ、特に東欧・北欧の汚染が深刻だと報じられましたが、日本のメディアはある時期から、その報道をあまりしなくなったように感じました。


 さてこの事故に関して今回書いておきたいのは、当時のNHKラジオ英語会話のことです。私は中学時代以来、ずっとラジオ英語会話を聴いておりました。東後勝明先生の時代からです。スキットも毎週諳んじて憶え、自分の英語力向上に大いに役立ったと思っています。チョルノービリ原発事故の時は、講師が入れ替わる時期と重なっていましたが、これから話すことは東後先生の次の講師の大杉正明先生に代わった直後でなかったかと思います。事故翌年の1987年後半だったと思うのですが、ヨーロッパでチョルノービリ原発事故で放射能汚染が心配されている話がある週のスキットに入っておりました。私の記憶だと「ブルガリアやトルコでも、ナッツ類などの放射能汚染があるそうだ」という会話も挿入されていました。その後「そうなの。日本への影響も心配ね」といった受け答えで終わったような記憶があります。


「ような」とはどういうことかと言いますと、実はこの週の英語会話が始まると、まったく違うスキット内容だったからです。その内容は今憶えてませんが、テキストには無論記載がなく、また放送でもそのスキット差し替えについての説明は一切なく、大層驚きました。あまりに驚き当然何か反応があるかと思いましたが、これについてその後も放送では一切説明がなく、翌月も翌々月のテキストにも言及がなく、また当時あった視聴者投稿欄にも何も載っていませんでした。新聞などのマスコミにも何も反応がなかったですが、私は何か大きな圧力を感じました。


 今チョルノービリ原発事故の汚染地図を見ると、東欧などの一部地域が白いことに気づきます。具体的に言うとブルガリア、旧ユーゴスラビアの一部(セルビア、マケドニアなど)、アルバニアです。またギリシャは汚染があるのに、その対岸のトルコなど中近東はまず汚染調査区域に入っていません。明らかに政治的な思惑があると感じます。英語会話では、確かブルガリア・トルコと国名を名指ししていたように憶えています。


 実はこの英語会話事件、あまりに謎だったので、今から10年くらい前ヤフーの知恵袋に投稿して、「どなたか、この一件の詳細を知りませんか?」と尋ねてみました。しかしまったく反応がなく、1月あとくらいでヤフーから「回答がまったくなかったので、削除します」と連絡されました。これを知るひとは現在アラカン世代以上だと思いますが、人々の記憶からも遠ざかっているのでしょうか


 一体なぜ原発事故汚染に関わるスキットが抹殺されたのか、僕は今も色々と考えます。ひとつは名指しされた国の大使館から、抗議されたことです。しかし国家として汚染を公表せず隠蔽するという態度の方が問題でしょう。または、これらの国から食品を輸入していた業者からの圧力です。当時ヨーロッパの農産物や魚介類の輸入に関して日本でも相当問題になり、輸入急減があったようです。ちょうど福島原発後の日本産物に対しての、各国輸入制限と似ています。「寝た子を起こすな」というところでしょうか。第三に考えられるのは、日本政府からの圧力です。我が国の原発も果たして安全なのだろうかという議論が当時巻き起こったのは、憶えています。「日本の原発はそういう無謀な実験をしないし、厳重に安全管理されている」という説明があったように思います。「対岸の火事」とはいえ、こういうスキットが世に出ると、また原発反対運動が起こるのでないかと懸念した可能性はあります。
 いずれにしても、「なぜ、このラジオ英語会話のスキットが排除されたのか」の理由が明示されないまま現在に至っていることに、僕は今も不安を感じています。