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大阪大学・微研の研究不正と自殺(2006年)1

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大阪大学・微研の研究不正と自殺(2006年) 〜私の感想


本日のyahooニュースで、産経のこんな記事がでていました。

法政大研究室で男性死亡 60代教授か、事件性なし

2023/7/24 20:47

24日午後2時35分ごろ、東京都小金井市梶野町の法政大小金井キャンパスで「教員が倒れている」と119番通報があった。警視庁小金井署によると、男性が研究室で倒れており、搬送先の病院で死亡が確認された。署は60代の教授とみて、身元の確認を急ぐ。遺体に外傷はなく、事件性はないとみている。

研究室はキャンパスの北館にあり施錠されていた。ゼミに姿を見せず、不審に思った学生が大学側に連絡。職員が鍵を開けて男性を見つけた。死後、数日が経過している可能性がある。

法政大によると、小金井キャンパスには情報科学部や理工学部などの研究室や教室がある。広報担当者は「状況を確認している」としている。

病院に搬送したと書いてありますが、この酷暑の中で数日経過したと考えられる遺体をですか?それは措くとして、大学研究室で在室時は普通内鍵はしません。するのは故意です。「事件性がない」というなら自殺の可能性を考えますが、人が自殺するのは、それ相当の理由があるからです。


 大学の教員が自分の研究室で自殺する事件は、時々あります。これは会社の経営者が破綻した自分の会社で自殺するのとは訳が違い、背後に人間関係に発した深刻な問題があることが普通です。これを読んで思い出したのが、表題の2006年、大阪大学・微生物研究所(微研)であった自殺です。今はなくなった2chから引用します。生命機能研究科は阪大の各施設の研究室で成り立つ大学院で、これは微研の研究室です。

1 :イカ即売会φ ★:2006/09/07(木) 05:21:27 ID:???0

大阪大大学院生命機能研究科(大阪府吹田市)の研究室で自殺したとみられる男性助手(42)が、自分の研究データを改ざんされたうえ論文を米国の科学雑誌に投稿されたとして、取り下げを訴えていたことが分かった。論文は先月2日に異例の取り下げとなった。助手は、同科が研究公正委員会で経緯などについて調査を行っているさなかに自殺しており、大学は事実解明に乗り出した。

府警吹田署の調べでは、助手は今月1日、同研究科の研究室で死亡しているのが見つかった。そばに毒物の「アジ化ナトリウム」の空き瓶があり、家族あての遺書も確認されたことから、服毒自殺を図ったとみられる。関係者によると、助手は今年7月、自分の研究データが改ざんされた形で論文が米国の生化学の専門誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」電子版で発表されているのに気付いた。このため助手は、論文責任者の同研究科教授に取り下げを依頼したという。

助手は周囲に「勝手に論文を投稿され、ねつ造された」と話していた。

8月上旬、論文の複数の著者が近藤寿人・同研究科長に「論文データの学術的正当性に疑いがある」と指摘。研究公正委(9人)が9日から調査を始めていた。論文は染色体の複製に関するたんぱく質についてのもので、

A4判で27ページに相当する量。亡くなった助手は共著者5人の2番目に記されていた。6日記者会見した近藤科長は、論文取り下げについて「理由は調査中なので言えない。自殺と関連付ける事実は把握していないが、助手が(不正に)関与した事実は全くない」と話した。

阪大では、05年5月、大学院医学系研究科の2人の教授や医学部生らが米医学誌「ネイチャー・メディシン」に発表した論文のデータにねつ造があることが発覚。大学は今年2月、両教授を停職2週間と1カ月の懲戒処分にしたばかりだった。


今でこそジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(JBC)のIFが下がってしまいましたが、昔はこの雑誌に論文掲載されればいっぱしの生化学研究者として、世に認められた証しでした。今でも研究内容の手堅さという意味で、この雑誌に掲載されるのは重要です(あまり刺激的な体裁でないけど)。この助手と教授は誰かとなりますが、Natureのこの記事で判ります。この内容から自殺した助手は川崎泰生(やすお)氏、教室主任は杉野明雄教授だとわかります。

Published: 20 September 2006

Mystery surrounds lab death

Ichiko Fuyuno & David Cyranoski

Japanese biologist found poisoned at his bench.


Tokyo


On 1 September, Yasuo Kawasaki, a 42-year-old assistant professor at Osaka University, was found dead in his lab after ingesting poison. The investigation into the case so far has left many questions unanswered — including whether the death was connected to a recently withdrawn article on which Kawasaki was a co-author.


That paper suggested that a type of DNA helicase called MCM2p plays an important role in DNA replication (W. Nakai et al. J. Biol. Chem. 10.1074/jbc.M603586200; 2006). It was published online on 12 July. But on 2 August, the journal marked it as “withdrawn”.


Osaka University began an investigation on 9 August into whether the paper contained false data. In the midst of the inquiry, Kawasaki's body was found — police suspect that his death was a suicide, although they are still working on the case.


Many who knew Kawasaki have expressed surprise and shock at his death. “He was a talented young scientist,” says John Diffley, an expert in DNA replication at Cancer Research UK's London Research Institute, who knew him since Kawasaki was a postdoc at Cornell University in Ithaca, New York. “His career seemed to be going very well.”