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明石焼き




 関西は「こなもん文化」と言いますが、この「明石焼き」はどの程度の浸透度なのでしょうか?たこ焼きの亜種ですが、関西でもたこ焼きほどポピュラーなようには見えません。


 僕が明石焼きという食い物の存在を知ったのは、かれこれ40年近く前だと思います。何かの食い物の本に、「明石焼き」が紹介されていました。おおよそたこ焼きみたいなものだが、卵が入った生地でふんわりしている。しかもそれをソースでなく、薄口の出汁でいただくと書いてありました。「へえ、どういうものか知らんが美味そうだな。一度食ってみたい」と思いました。30代になってから、神戸は時々学会で行く機会がありました。明石焼きは大阪より神戸で多いと聞きましたので、ま、きっとその辺にたこ焼きの店のようにあるのだろうと思いました。ところがどっこい、そうそう見掛けません。しかも外に食べに出るのはだいたい夜ですから、わざわざ明石焼きを探すよりとりあえず居酒屋系に行く方が先決だったこともあり、いっかな明石焼きを食べる機会がなかったです。そのうち神戸の学会も行かなくなり、明石焼きは現実からすっかり遠ざかってしまいました。
 しかし「明石焼き、どんなものだろうか。卵の入った生地ということは薄黄色をしているのだろうか。出汁に入れたら、上品なお雑煮みたいな味わいになるのだろうか?」と、空想というか妄想というか、頭の中で「明石焼き」のイメージが年を追うごとにどんどん膨らんできました。
 今夏久しぶりに関西に行く機会がありました。今回は仕事でなかったので、昼から外で食事できます。今回は何としてでも、明石焼きを食いたい!久しぶりに明石焼きを思い出し、新神戸に着く前から、明石焼きの店を検索しました。そうしますと神戸に明石焼きの店が多いといっても、犬も歩けば棒に当たる式に何処でもある訳でないことを知りました。しかも駅周辺というより、ちょっと歩く街中に多いことも初めて知りました。で、その中で「たちばな」という店が有名そうだとわかりました。よっしゃ!ここだ!


 新幹線を下車して地下鉄でJR三宮駅に向かいます。そして三宮駅から元町駅に着いて降りると、死ぬほど暑い。しかも蒸し暑い。歩いているとくらくらしましたが、何としてでも今回は明石焼きをGET!という思いで、歩きました。関西の商店街は東京方面ではあまりなくなった、庶民的な気安さがあります。気取らず、控えめな街並みで、「ふーん、街も薄味テイストなのかな」と思いました。「たちばな」はすぐ見つかりました。待ちに待った明石焼き!ここはほぼ明石焼き専門店で、先客たちも皆明石焼きです。下駄を履いたまな板みたいな木板に、薄黄色の明石焼きがずらりと並んでいます。それを横目で観察しながら、「うむ、想像通りだな」と思いました。我々の明石焼きもそう待たずに出て来ました。お出汁も添えられており、テーブルにあった説明を読むと出汁に浮かぶ緑色はネギでなく、三つ葉だそうです。早速、いただきます。ふんわり大ぶりな生地で、咬むと歯切れ良い蛸が出て来ます。お出汁の具合は何とも言えず、生地に馴染みます。「嗚呼、想像していた通りの味!」と思わず心の中で叫びました。10個に並んでいますが、あっと言う間に完食。今度いつ食う機会があるかわからないので、お代わりを注文(太るわあ)。「関西人はこんな美味いものを、いつも食ってるのか。ずるい!」と思いながら、ばくばく食いました。


 明石焼き、どうして東京で出してくれないのでしょう?こんなに美味しいものなら、爆発的に売れるのでないか?と思うのですが。しかし、関西でもそんなにあちこち店がある訳でないので、好む客層はある程度限られているのでしょうか。だれかご存じなら、是非教えていただきたいです。