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Trails to Oishii Tokyo 〜ほや

「NewDaysの駅弁」 〜今月はヒット作!


NHKの「Trails to Oishii Tokyo」は今回「ほや」の紹介でした。いやー、まったく食べたことがない外国人がよく食べましたね!私ですら初めてホヤを食べた時は、かなりおっかなびっくりでしたから。画像は鶴岡市立加茂水族館からの借り物ですが、形態はかなりグロテスクかな。「ウルトラマン」の怪獣みたいにも見えます。


 築地市場では「貝類専門」の仲買商でホヤが扱われているのですね。「ホヤは貝ですか?」とレポーターのスェーデン人ヤンニ・オルソンが尋ねています。動物ではありますが、貝のような軟体動物ではないです。原索動物の仲間で、我々脊椎動物に近いです。ホヤの一番美味しい食べ方は、生で刺身つくりでしょう。私が初めて食べたのはいつだったか忘れましたが、記憶に残るのは恩師の東北大学教授が定年で退職する時のパーティで出た時でした。ホヤ産地に近い仙台ですから、きっと新鮮にちがいないと思い、前菜カクテル仕立てになったオレンジのホヤの身をいただきました。独特な香り(キュウリみたいな?)、甘いと同時にやや苦い風味でした。慣れると美味しく感じられ、何杯かお代わりしていただきました。


 うちの近所のスーパーにはなぜか東北の物産が多いです。東日本大震災の時、駅前で福島応援のカンパが立ちましたが、東北出身者が多い地域なのかな。夏になるとビニール袋に海水とともに詰めたホヤの身を売っています。これもよく買って食べました。しかし、家族は誰一人として食べません。東日本大震災前は、宮城県や岩手県沿岸で養殖されたホヤが韓国に大量に輸出されていたと聞きます。福島原発事故の影響で残念ながら今はそれほどでもないようですが、日本人でも一般的でないというのに韓国の人がそんなに好むとは意外です。


 ヤンニ・オルセンが石巻を訪ねて店先の「ガチャ」でゆで卵をホヤの身でくるんだ食品を買って試食していました。うーむ、かなり変わってる。試食して「ホヤは卵と合う」とヤンニは言っていましたが、本当か!それとは直接関係ないですが、JRの「NewDays」は今東北フェアをやっていて、なんと「ホヤの干物」を売っています。これです。


小箱の下の窓から見えるように、ホヤの干物を細く切って裂きスルメみたいにしてあります。味はなかなかいけます。生のホヤと同じで、香りあり、そして甘く渋みがある風味で、日本酒と合いますね。しかしあまり売れてる感じがしない。私が買い占めようかな。


 今回のレポーターのヤンニにはホヤは高評価でしたが、一般の欧米人など食べるわけないと思うでしょう。ところがどっこい、食べるのです。それ何処の国かというと、フランスです。今回の「Trails to Oishii Tokyo」でもフランス料理のシェフがホヤを調理してましたが、多分フランスではそういう食べ方はしないと思います。というのは、パリの魚屋で見たホヤはカキなど生で食べる貝類と一緒に並べられていたからです。フランス語でホヤは「violet」ヴィオレ(=スミレ)と言いますが、下の写真のように外表が紫色がかっているからでしょう(これは割を入れた写真で黄色い部分が身です)。

パリの魚屋でも常時あるというわけでなく、夏とかだったかな。外見からでは鮮度がわかりませんし、夏ですからどうしても心配で一度も買いませんでした。


 実は一度だけフランスで食べたことがあります。それはマルセーユに住む昔の研究仲間のフランス人が、私の講演が終わった後彼の自宅でパーティをしてくれた時です。「きっと君は海産物が好きだと思うから、今夜は地中海の海の幸尽くしだよ」ということで、有り難く頂戴しました。カキなどフランスではフリュイ・ド・メールfruits de mer(海の果物)と呼ぶ貝類が中心でしたが、何とその中にviolet、そうホヤのむき身もあったのです。しかしパーティのメンバー、だれも手を付けない。「アレでしょ?日本人はホヤとても好きなんだよね?」と言います。うーむ、食べますけどこのホヤの鮮度がわからない。しかし、このまま食べないわけにもいきません。思い切っていただきました!そうですね、日本のホヤとまあまあ同じですが、ちょっと磯臭い。鮮度の問題でないかなと思いましたが、全部いただきましたよ。フランス人は他の欧米人と異なり、かなり変わった物もよく食べます。


追記:英語でホヤを何と呼ぶのか知らなかったので(俗称のsea pineappleは別として)調べたら、sea squirtsと出て来ました。しかし生命科学の論文でこの単語は滅多に見ることがなく、普通はascidian(アシディアン)と書いています。ascidianは古代ギリシャ語のaskosから来ており、学術用語として使われても日常語ではないです。ウニなら学術論文でも日常語のsea urchinを普通に使うのに、なぜsea squirtsは使わない?そういえばsquirtsって何?「海のsquirts」ならsquirtsはどういう生物?と思って画像検索すると、変な(?)画像ばかり。何だこのH系画像は?と思い、慌てて英和辞書を引くとsquirtsは「ほとばしらせる」とか「濡らす」とかの意味。ふ〜ん、そういうことだったのか。確かに「Trails to Oishii Tokyo」でも、養殖ロープにくっついたホヤが水揚げされると勢いよく水管から海水をビュービュー放出してました。これを見たからイギリス人はこういう名称にしたのでしょうが、食い物にするつもりはまったくなかったのでしょうね、今も。「今晩の酒のアテはsea squirtsだぜぇ!」なんて言ったら、イギリスのエロ親父が「グヘヘ」とにたにた舌なめずりしてそうで、おお汚らわしい!となりかねませんからね(笑)。


 追記
旅行で釧路に行った時に、水族館が入っている施設の魚市場で「アカホヤ」を見掛けました。型は下の画像のようにまあまあマボヤに似ていますが、外表の突起構造がほとんどないです。旅行中なので購入できませんでしたが、どんな味でしょうか