gillespoire

日常考えたことを書きます

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

「新理系エリート」 〜高専から東大・京大への進学(4)

「新理系エリート」 〜高専から東大・京大への進学(1)
「新理系エリート」 〜高専から東大・京大への進学(2)
「新理系エリート」 〜高専から東大・京大への進学(3)
「新理系エリート」 〜高専から東大・京大への進学(5)
「新理系エリート」 〜高専から東大・京大への進学(6)


前の回で高専出身者に教養が不足するのでないかとするコメントがありました。

uhgv36820



まあまあの規模の企業で働いています。高専出身の人に共通するように感じているのは、全体的に優秀だし、やる気もあるけど、記事の例の人のように卒業自体はそれなりの大学や大学院でも、普通の大学受験をしていないせいなのか、高専時代の教育のせいなのか国語力が低めなのと「高専出身である。普通の高校でなくて、普通の大学受験をしていない。」という本人たち自身がコンプレックス抱えている気がします。(個人的見解です。)そして、そのコンプレックスのせいなのかわかりませんが、我社では高専出身者の集まりもあるようです。東大、京大はじめ国立大は集まらないけど、なぜか高専は連帯感強め。高専を否定はしないけれど、普通の人は高専を知らないからそこから説明しないと自身の経歴を語れないというのは人格形成に意外と響いている気がします。(繰り返しますが、私自身は高専出身者は総じて優秀だと感じてます。)


それで思い出したのが、2019年11月20日に高専出身で東大の特任准教授だった大澤昇平氏が起こした騒動です。

大澤氏は、東京大学大学院情報学環・学際情報学府の特定短時間勤務有期雇用教職員として同大学に勤務(註:大澤氏の場合は特任准教授)。AI制作プラットフォームの開発などを行うDaisy(東京都千代田区)の代表取締役CEOでもあり、19年11月20日にTwitterで自社の採用方針について「中国人は採用しない」「中国人は面接に呼ばない。書類で落とす」などとコメント。差別的な投稿だとして、批判が殺到していた。


この事案は伏線があったようです。文春オンラインの記事です。

ことの発端は比較的些細なことだった。11月11日、大澤氏は自身のTwitter上で、P2PソフトWinny開発者の金子勇氏(故人)を「犯罪者」と投稿。だが、このWinnyはユーザーによる著作権侵害が多発したツールだったものの、開発者の金子氏については2011年に最高裁で無罪が確定していた。現在、金子氏は日本のIT戦略の保守性ゆえに悲劇的な運命をたどった天才だったと評価されることも多く、大澤氏の冷淡な評価に一部で反発が起こった


 後から考えれば、この時点で謝っていればよかった。だが、大澤氏は11月19日から20日にかけて、Winny問題について根拠不明の陰謀論を投稿。さらに引き続いて、彼の社会的評価に決定的なダメージを与える投稿をおこなってしまった。

私が関係筋から聞いた話によると、金子勇のWinny開発には中国共産党が関与している。

 中国当局はその後、情報暴露型のワーム(Antinny/キンタマウイルス)を日本に蔓延させ、自衛隊の軍事機密をWinny経由で大量に流出させることに成功した。

 これは国家レベルのスパイ活動であり、サイバー犯罪である。

それに続けて<弊社 Daisy では中国人は採用しません>となったそうです。金子勇氏が中国人は事実でないです。しかも事実でないことに基づき、中国人すべてに対しての十把一絡げヘイト発言は暴言でしょう。私が気になるのは、中国スパイ論そのものより、それにかこつけて大澤氏が金子氏を異様に敵視し貶めようとする攻撃的な姿勢です。ちなみに金子勇氏の経歴を見て、気づくことがあります。金子氏は高専出身でないですが、茨城大工学部から同大大学院に進んで学位を取り、情報工学で活躍します。2002年に東大大学院・情報理工学研究科で特任助手に採用されますが、2004年に上記のWinny開発で京都府警に逮捕されて解雇されています


大澤氏はこれ以外にも翌年の2020年6月に問題を起こしていました。

Twitterで伊藤詩織さんを「偽名」だと虚偽の内容で中傷する投稿を行ったなどとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが株式会社Daisy代表取締役で、元東京大学大学院特任准教授の大澤昇平さんに対し110万円の損害賠償を求めている裁判の第1回口頭弁論が11月2日、東京地裁(藤澤裕介裁判長)であった。


訴状によると、大澤さんは2020年6月、伊藤さんが漫画家のはすみとしこさんら3人を提訴したことを受け、「伊藤詩織って偽名じゃねーか!」とTwitterに投稿。

投稿には「伊藤詩織」を通名とする外国人とみられる人物が破産に至ったことを示す官報公告の画像が添付されており、「#性行為強要」などのハッシュタグも添えられていた


伊藤さん側は、「原告(※編集部注:伊藤さん)は破産開始決定を受けたことはなく、本件ツイートの摘示する事実は真実ではありません」と指摘。また、伊藤さんは本名で、別の名前はないとして大澤さんのツイート内容を否定した。


ツイートが伊藤さんの名誉を毀損しているとして、慰謝料110万円と投稿の削除を求めている。



この事案はヘイト発言そのものではないですが、やはり伊藤氏に対して根拠がない中傷を試みる大澤氏の攻撃的な姿勢が感じられます。


 大澤昇平氏はどのような出自なのでしょうか?彼が2019年に出版した『AI救国論』という著書発刊時のBookウォッチの記事です。


高専から東大最年少准教授への道、どう切り開いたか


著者の大澤昇平さんは、1987年福島県生まれ。略歴の「19歳で未踏スーパークリエータに認定」というあたりから読者は、「あれ? 高校と大学はどうしたの?」と思うかもしれない。それは後述するとして、その後、東京大学・松尾豊研究室で人工知能とウェブに関する博士号を取得後、IBM東京基礎研究所を経て、東京大学特任准教授、株式会社Daisy代表取締役CEOを兼任という略歴の人だ。 自分のキャリアについて詳しく書いている。大澤さんが今日あるのは、高校に行かず、高専に進学したからだと。


 福島県いわき市の「中流よりやや貧困層」という家庭で育ったという。エンジニアであった父親が3歳の大澤さんにBASICを使ったプログラミングを教えたのが大きかった。小学校に上がるとゲームなどには見向きもせず、パソコンで惑星軌道の物理シミュレーションを行い、自分の仮説が合っているかを確かめていたというからかなり早熟だ。


 小学校を卒業する時には微分積分を自由に操れるようになり、中学校でも成績はトップクラスだったが、進学校には進まず、高等専門学校、いわゆる高専に行ったことで(註 福島高専のこと)、5年もキャリアを早めることができたという。高専時代に磨いたプログラミングの技術がその後役に立ったのだ。


 高専から筑波大学に入り、最終的に東大大学院の博士課程に進み、その後は略歴にある通りだ。


典型的な高専からの大学編入の経過です。

「日本衰退の責任は若手の実力不足にある」というタイトルの第1章で、日本の衰退の原因は、企業の組織構造にあるのではなく、若手を教育するシステムのバージョンの古さにある、と指摘している。


〜中略


 その解決策として、「大学生活の回り道、高専というファストパス」の活用を提案している。高専は高等専門学校機構の5年制の学校で、全国の都道府県にだいたい1校ある。もともと技術者の養成を目的につくられたが、最近は半数が大学に進学(大学2、3年生からの編入)している。


 東大で進学校から来た学生は自分より優秀な高専出身者に対して、「ずるい」という言葉を使うという。「自分が受験勉強している間に、プログラミングを勉強するなんて、それは勝てて当たり前だ」と。だが、受験勉強を選択したのは、自分自身なのだ、と大澤さんは諭している。


〜中略


 高専は地方の各県にもあるので、地方銀行と連携した製造業の復権、地方創生という第4章も大きなヒントになるだろう。


 BOOKウォッチでは、高専関連で「高専教育」(岩波書店)を紹介した。発足して50年以上になるのに、高専の役割や卒業生のその後についての検証があまりなされていなかったという。同書でも学歴よりも学習歴が評価される「高専モデル」を提唱していた。高専出身者の星とも言える大澤さんの出現は、高専にとって大きな希望になるに違いない。


大澤氏の経歴はこうなります。


2008年 福島工業高等専門学校卒業
2010年 筑波大学第三学群情報学類卒業
2012年 筑波大学大学院システム情報工学研究科修士課程修了
2015年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修 学位は工学博士
2018年 株式会社daisy操業
2019年 東京大学特任准教授着任


上の「中国人採用しない」発言で、東京大学の公式謝罪に至り、大澤の寄付講座のスポンサーが全社降板を発表するなどし、2020年1月に東大を懲戒解雇されています。


 伊藤氏に対する中傷は解雇後のことになります。こちらは裁判の結果、伊藤氏の勝訴となりました。朝日新聞の記事です。


伊藤詩織さんを中傷 東大院の元特任准教授に賠償命じる

新屋絵理2021年7月6日 17時00分


性被害を訴えるジャーナリストの伊藤詩織さんが、東大大学院情報学環・学際情報学府の特任准教授だった大澤昇平氏のツイッター投稿で名誉を傷つけられたとして、110万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が6日、東京地裁(藤沢裕介裁判長)であった。判決は名誉毀損(きそん)の成立を認め、大澤氏に33万円の賠償と投稿の削除を命じた。


 大澤氏は2020年6月、「伊藤詩織って偽名じゃねーか!」と投稿。伊藤さんと同姓同名の通称を使う外国人の破産手続きが始まったことを記載した官報の画像も添付した。


ところがXを見ると、大澤昇平氏の異様な反論がtwitterに上がっていました。




強がりもいいところで、かなりイタい。


続きます。