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医学部入学者、女性が4割占める 〜女性医師増加するとどうなるか

医学部入学者、女性が4割占める 〜女性医師増加するとどうなるか
医学科入学者、女性初めて4割超に 〜朝日新聞記事から
医学科入学者、女性初めて4割超に 〜ヤフコメの反応


医学部入試で、女性や浪人生の差別が社会問題となったのは、2018年でした。発端は東京医科大(東医)で文科省キャリアの子息が入試で手心を加えられたとして、汚職事件として発覚したことでした。この事件から東医の入試に司直のメスが入り、当該の事件だけでなく広範な恣意的な合否処理があったことがわかりました。その一つが女子受験生に対する一律の減点操作です。この後文科省が全国の医学部の入試状況を調査して、問題は東医だけでなかったことがわかってきました。以下はwiki記載です。


全国81大学を調査したところ複数の大学が不適切な得点調整をしている疑いが生じた。その後、2018年10月15日に昭和大学[4]、11月22日に神戸大学、12月8日に岩手医科大学、金沢医科大学、福岡大学[6]、12月10日に順天堂大学、北里大学、12月12日に日本大学[9]、聖マリアンナ医科大学[10]が相次いで得点調整を公表し、計10大学の医学部が募集要項には記載のない不適切な得点調整を行っていたことが明らかとなった。

この後、差別を受けた女子受験生が医学部を相手取って、損害賠償の裁判を起こしました。詳細は省きますが、いずれも女子受験生の勝訴でしたが、大学の対応として印象が個人的に悪かったのは、順天堂大学と聖マリアンナ医科大学かな。いずれも往生際が悪いというか、言い訳だったり事実を糊塗したりと、潔くなかったです。


 現在は少なくとも公的には女子差別がなくなりました。その結果どうなったか?というのがJIJIcomの記事です。


まず、上記の医学部不公平入試の前段から。

世間を騒がせた医学部不正入試の発覚から5年。性別、年齢による不当な差別の是正により、2023年度の医学部(医学科)入学者選抜における女性の入学者は4割*1に上昇した。女性医師が半数以上となる日も遠くない。女性医師が増え続けることで日本の医療はどう変わるのか。女性ライフクリニック(東京)理事長の対馬ルリ子医師らが立ち上げた日本女性医療者連合(以下JAMP)は不正入試問題に関し、発覚以前から独自に調査を進めて情報提供を行ってきた。不正が明らかになった真相と女性医師への期待を対馬氏に語ってもらった。


対馬 10年ぐらい前に日本医師会の理事の先生とお話しする機会があり、「日本の女性医師はこんなに増えている」とグラフを見せてもらいました。医学部入学者の女子の割合を見ると、一定のラインで上昇が止まり、まるで定規でも当てたかのようにほぼ横ばいで推移していました。2000年以降、女性医師は世界的に見ても増加傾向にあり、経済協力開発機構(OECD)の加盟国では35歳未満の女性医師の比率が軒並み5割を超えて増え続けているにもかかわらずです。「あり得ない」と不思議に思い、調査を始めました。

なるほど、もちろん医学部受験関係の予備校などではとっくに気づかれていたのでしょう。そして、差別入試の実態が暴かれて、廃止された後どうなったか?

―不正を廃止したことで、女性の医学部入学者数は4割に達しました。このままいくと半数を超えるのも時間の問題だと思われます。今後、医師の働き方は変わっていくのでしょうか。


 対馬 例えば、仏ではいろいろな事情で医師の就業時間を過ぎてしまった場合は、緊急でない限り、その日に予定していた手術を延期することは普通に行われています。患者さんもそのあたりは理解しているようで、医師にはしっかり休養を取ってから手術に臨んでもらった方が安心だと思っているようです。


 女性の数が増えたからといって、組織の意思決定者の女性はなかなか増えていきません。自分に発言力が付いてからとか、立場が偉くなってからというのではなく、まずは現場の人たちがどんどん声を上げてムーブメントを起こしていけばいいと思います。


 女性医師が4割になった、5割になったから終わりではなく、6割、7割になってもいいと思います。そうすると、医療も変わり、医師の働き方も変わります。それに応じて制度や体制、文化も変わるでしょう。男性を隅に追いやるのではなく、男性も働きやすい環境を一緒につくっていけばいいのです。

これはどうかな。現場を知る身としては、もしも女性医師が6割以上になれば、色々な意味で深刻な問題が起きると断言します。少なくとも今の日本の医療の質は維持できない。差別的発想と言われたって、まったく構わない。明言します。

―「女性は当直や救急を避ける」という声もあります。


 対馬 私自身は手術を執刀するとアドレナリンが上がり、達成感がありますので、手術は大好きなのですが、「24時間やれ」とか「休まずにやれ」とは言われたくありません。若い人も仕事を頑張りながら子どもも産んでみたいし、自分のプライベートの時間も充実させたいと思って当然です。女性に限らず男性もそうだと思います。だから、いろいろな人が力を合わせて、オペもやるし、当直もやれるときにはやるみたいなシンプルな勤務体制と評価制度をつくった方がいいですね。

そうですか。オペするとアドレナリンが噴出するとは、かなりの肉食系女子と思われます。ただ、そういう女性医師が存在することは知っています。

―女性たちが今できることはありますか。


 対馬 日本で「SDGs」というと「環境」のことばかりに注目が集まっていますが、17のゴールの中で日本が一番遅れているのは「ジェンダー平等」です。日本の女性は声が小さい、層が薄いと言われています。そもそも何もせずに諦めから始まっているので、持てる力をどれだけ発揮できるかというところにはまだチャレンジしていないんですよね。私は日本の女性の底力はきっとすごいに違いないと信じているので、これから皆がチャレンジすればいいと思うのです。


 日本全体がこんなに後退し、勢いを失ってしまっているのは皆が我慢して諦めているからであり、本当にもったいないことです。今後、女性の活躍で期待されるのは「発言力」であり、それは「社会を変えていく力」です。そこにこそ地球の未来があると私は考えます。医療界を変えるとかいうレベルの話ではなく、すべての女性たちが手を取り合い、声を上げて、自らの生き方を決めていく。女性が世界を変えていく時代が来ています。


さて、この対馬医師の意見に対して、ヤフコメはどうなのか?

oki********2/19(月) 18:31


3次救急病院に勤務していた頃、同僚の女性医師が妊娠して、本当に過酷な勤務を経験しました。時間外労働だけで月300時間を超えていたと思います。ほぼ前日と翌日の勤務が繋がっていて、睡眠時間はエレベーターの昇降時のみという日も少なくありませんでした。もちろん女性の妊娠だけでそうなったわけではありませんが、そういう過酷な現場もあることを考慮すると、医師全体の総数を増やさず、単に男女均等を推し進めるのは危険だという気もします。

妊娠・出産による休職自体は普通ですが、この休職は計画性があまりないです。従って医療に限らず、人的余裕に乏しい職場では突発的なマンパワー不足の出来は結構頭の痛い問題になります。


 このコメントはmikenekoとhjk********の間で長い議論になりました。

mikeneko2/19(月) 22:29


出産後も子供の面倒をみないといけないという理由で当直ができない女医がたくさんいます。かといって当直医は毎日必要なわけであって、残された医者の負担が増えるだけ。


女性の社会進出そのものは賛成です。


ただそれだけ責任ある職(特に急患が多い診療科など)に就くのであれば、夫が家事を十分にやってくれる環境が必要です。そういったこともせずに仕事をやるのは無責任だと感じます。

hjk********2/20(火) 7:22


絶対こういうコメントがトップにくると思いました。


私は女性医師です。未就学児がふたりおります。親や夫のサポートはありません。理由は、親も夫も多忙(または病気)だから。フルタイムで働くのはかなり難しいです。


発言力は大事です。しかし、それ以上に医療制度が変わらないといけないです。まずは病院を集約化するしかありませんが、それもさまざまな理由で困難です。


この議論は堂々巡りです。


男性医師の妻は専業主婦が主流ですしね。また、医局や病院や科や地域によって、全く事情が違います。


mikeneko2/20(火) 19:23


親も夫も多忙

>男性医師の妻は専業主婦が主流ですしね。


だから女性医師の夫が専業主夫になればいいんですよ


親も夫も多忙」というのはあなたの家庭の問題であり、あなたの職場の人間にとっては関係のない話です。


制度云々いう前に、まず旦那に家事を手伝ってもらうように言ったらどうでしょうか?


hjk********2/21(水) 1:37


だから女性医師の夫が専業主夫になればいいんですよ。


 必ずこういう反論きますね。特に男性医師から。パートナーが専業じゃなきゃ成り立たないっていう勤務体系がおかしいです。専業でやってくれる相手が納得していればいいですがね。

 どうでもいい話ですが、私の夫は3K外科医です。専業主夫にすれば、また外科医が枯渇します。彼の努力も無駄にします。そんな女性医師は私に限らずたくさんいます。


>「親も夫も多忙」というのはあなたの家庭の問題であり、あなたの職場の人間にとっては関係のない話です。


 プライベートが同僚に関係のない話なのは当たり前ですが、家庭の問題を無視できないから、女性医師や疲弊した男性医師も激務から去って行っています。


制度云々いう前に、まず旦那に家事を手伝ってもらうように言ったらどうでしょうか?


 医局派遣で単身赴任もあったし、36時間ぶっ通しで働く3K外科医に無茶な話です。


hjk********2/21(水) 2:09


・俺たち(男性医師)の働き方は変わる必要はない(妻は専業主婦)。

・家庭の事情なんか知らん。勝手にそちらで都合をつけろ。お前が主夫と結婚しないのが悪い。子供は産まなければいい。女医は欲張りだetc.


このあたりはたくさん言われますね、女性医師は。肩身が狭いですよ。だから堂々巡りなんですよね。疲れました。旧態依然とした現場が多いです。


何年もひたすら勉強し、必死で医療と向き合って、散々に言われる。女医が悪いのはわかりますが、大学病院や中核病院の第一線から退く人間があとをたたない、必要なところに必要なだけの医師数いないのは、制度が関係しています。


感情的になっても仕方がないので、フルタイムに戻りたい私は道を模索するしかありません。

lll....も議論に参戦します。

lll....2/21(水) 5:20


男性医師の妻は専業主婦が主流ですしね。


このコメント憤りを感じます。男性医師の妻も普通に働いています。女性医師が妊娠された場合当直数が増え、男性医師の妻はサポートが減る中子育てと仕事に追われます。稀に家庭崩壊する方もいます。

これに対して

hjk********2/21(水) 7:49


このコメント憤りを感じます。男性医師の妻も普通に働いています。女性医師が妊娠された場合当直数が増え、男性医師の妻はサポートが減る中子育てと仕事に追われます。稀に家庭崩壊する方もいます。


 それは失礼しました。主流というか小さい子持ちの医師の妻は専業主婦の方が多くはありますが、働いておられる方もいらっしゃいますね。転勤が多い勤務医などは本当に大変で、そのタイミングで奥様が泣く泣く退職されたりもあります。

 というわけで、専業主婦の奥様や共働きの奥様も敵に回す(よく思われない)構図になりがちな女性医師、妊娠して切迫早産で急に抜けたり(←私はこれでした)すると大変です。

 皆が不公平感のないように、性別関係なく働きやすいよう、中からも意識も変えていかねばなりませんが、困難がまだまだありますね。

再びmikeneko

mikeneko2/21(水) 11:00


男性医師の妻は専業主婦が主流

何年もひたすら勉強し、必死で医療と向き合って


旧態依然とした考え方はあなたにも少なからずある気がします。

医師以外の医療職も、何年も勉強し必死に医療と向き合っているし、あなただけが特別ではないはずです。


旦那は外科医だから、自分は勉強を頑張ってきたから、というのは事実なんでしょうが、周りからすると違和感を感じると思います。


hjk********2/21(水) 11:09


mikeneko さま


 私個人は叩くだけ叩いていただいたら結構です。ただ、私のような女医がmassになってきて問題になってきています。個人を叩き排除するのは簡単ですが、解決しません。

 自分だけ特別などとは一言も申し上げておりません。また、私は他の医療職から一般枠で再受験した組です。私個人は何度も言いますがどうでもいいんです。

 概ね仰る通りですが、女性医師にとって過酷な状況は改善したい。フルタイム当直ありに戻るため、あらゆる策を模索しています。そんな医師はたくさんいます。以上です。


mikeneko2/21(水) 12:00


言葉が悪かったようで申し訳ないです。


私の以前勤めていた病院でも女医さんを数人受けれいた結果、男性医師の数が減らされ、残された医師が大変になった現状があります。さらにその女医さんは子育てを理由に当直免除となっているにもかかわらず、他院の寝当直に行っているということがありました。


私自身も今のままの医療現場でいいとは全く思っていません。

優秀な女性医師の方もたくさんおられますし、女性の方が活躍できる医療現場も少なからずあります。


病院の統廃合、主治医制の廃止など進めていく課題もたくさんあるかと思いますが、やはり医師というのは人の命を預かる特殊な仕事であるがゆえ、働き方の多様性が進みすぎるのもいかがなものかと思います。


あなたは努力して医者になり、旦那さんも立派に仕事をされ、子供さんもおられる。赤の他人から見たら十分に幸せな人生に思えますが。


hjk********2/21(水) 12:37


mikeneko さま


 ありがとうございます。ご指摘、仰る通りです。

 また、そのような女性医師もおりますね。そんな自分も満足に働いてこられたかわかりませんが、私も独身時代や妊婦時代もママさん医師のサポートをしていました。順繰りに育児になることが多く、持ちつ持たれつかと思ってで、女性医師はほぼ皆そうです。しかし女性が多い医局も、さまざまな面で良し悪しです。

 ロールモデルになるような女性医師も、決して多くはありません。親や夫のサポートが十分得られる女性医師にも、なかなか苦悩は理解されません。全医師に改革が進んでほしいと切実に思いますが、現状まだ難しいかと思います。

 私ももっと医療をやらねば世間に顔向けできません。個人の努力で限界もありますが、できるだけ周りに迷惑をかけない道を、なんとか模索していきます。


mikeneko2/21(水) 13:28


本当にその通りです。


女性医師が増えることはよいのですが、そのデメリットへの対策を先に講じておく必要があると思います。対策が追い付かないままに、ここ数年で急激に男女間の格差是正が進んだことが今の医療現場の問題につながっているように感じます。


色々な意見を交わせてよかったです。勉強になりました。

数々の暴言お許しください。


コメント読む限り、あなたはとても責任感の強い医師であるように思えます。少しでもいい医療現場となるようにお互い頑張りましょう。


hjk********2/21(水) 15:00


mikeneko さま


 とんでもないです。こちらこそ、未熟者が大変失礼を申し上げました。有意義な議論をありがとうございました!

 仰る通りです。力を合わせて頑張っていきましょう。私も気をもっと引き締め精進いたします。

私がこの議論を読み一番深く同意したのは、hjk********のこれです。


私の以前勤めていた病院でも女医さんを数人受けれいた結果、男性医師の数が減らされ、残された医師が大変になった現状があります。さらにその女医さんは子育てを理由に当直免除となっているにもかかわらず、他院の寝当直に行っているということがありました。


こういう責任感に乏しい女性医師が少数とはいえどもいるために、女性医師全体が歓迎されない構図になってしまう感じです。今激増している女性医師で、hjk********のようにばりばり働く者はどれくらいの割合なのか?私も是非知りたいです。


 それにしても、私が医学部に入った年、同級生の女子は7人でした。母校では長いこと一桁台の女子だったですし、1970年〜1980年代は大方の難関の医学部は同じようなものでした。あの頃女子比率が半分くらいだったのは、筑波大学医学専門学群でした。なぜか?というと、二次試験で学科試験がなく、小論文と面接だけだったのが大きいと言われていました。今母校も女子が3割くらいと聞きますが、一般に難関大医学部は今も女子率は低い傾向が継続しています。医学部に限らず、東大・京大始め偏差値が高い大学は、文理関係なく女子学生は少ないです。