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国立大学法人法改正が成立(5) 〜“稼げる大学法案”で学問の自由が失われる

国立大学法人法改正が成立(1) 〜「日本が死んでいく」の意味
国立大学法人法改正が成立(2) 〜「法案可決までの異常なスピード感」
国立大学法人法改正が成立(3) 〜集英社オンライン記事へのヤフコメ
国立大学法人法改正が成立(4) 〜集英社オンライン記事2から
国立大学法人法改正が成立(6) 〜小林鷹之氏の考え
国立大学法人法改正が成立(7) 〜戦前の国防教育を思い出す


このような重要な改正が、ほとんど数ヶ月のうちに発案・可決成立されてしまったのは驚きでしかないです。週刊ゲンダイにこの改正案についての発案者が触れられています。

またしても怪しげな法案が成立しようとしている。学問の自由や大学自治の原則を脅かしかねない「国立大学法人法改正案」が20日に衆院本会議で可決。今週にも参院での審議が始まる。


 この改正案は、東大・京大など大規模な国立大学に中期目標や予算を決める強力な権限を持つ合議体「運営方針会議」の設置を義務づけるもの。会議の委員の人選には文科相の承認が必要で、政府が大学への介入を強める可能性がある。


 政府が気に入らない人物を任命拒否できるわけで、これは菅政権で物議を醸した日本学術会議の任命問題と同じ構図だ。政府や財界が運営方針会議に人材を送り込んで、自分たちに都合のいい研究をさせたり、国立大学を金儲け主義に走らせることも考えられる。


「法案は財界と経産省の意向をくみ、官邸主導で“だまし討ち”のように進められた。大学に関する重要事項を審議する中央教育審議会に諮られることもないまま、10月31日に閣議決定され、国会に提出された。国立大学協会の会長も、閣議決定まで改正案の中身を知らなかったそうです」(文科省関係者)

 いやもう、驚きでしかない。中央教育審議会の副会長は、国立大学協会の会長も務める永田恭介 筑波大学長です。だからもし中央教育審議会に諮られていたら、当然国立大学協会の知るところになり、ただちにその情報が関係者に周知されたはずです。この法案はCSTIで審議されたと出ています。


 CSTIとはなんでしょうか?「総合科学技術・イノベーション会議Council for Science, Technology and Innovationの略称です。令和5年12月14日現在のメンバーはこうなっています。議長は岸田 文雄 内閣総理大臣で、議員は以下の通り。


確かにメンバーには中央教育審議会の委員が入ってないから、永田恭介氏が知らなくて当然になります。しかし、この議員の顔ぶれではこの法案を積極的に推進しそうな人物は見当たりません。こういう会議は往々にしてメンバーはお飾りに過ぎず、陰で操るのはそういう会議を招集する方の政府責任者です。


 はっきり申します。小林鷹之経済安全保障担当 内閣府特命担当大臣(科学技術政策 宇宙政策)が指揮を執っているのでないでしょうか?小林鷹之氏の事務所サイトを見ると、こんなことが書かれています。

日本人であることに誇りを持てる国に。

世界から必要とされる国に。


国益を守り国富の増大を図りつつ、我が国の国際社会における存在価値を向上させるためには、

「国力」を高めることが必要。

「国力」とは何か。

それは国家戦略の根幹を成す「経済戦略」と「安全保障戦略」を車の両輪として遂行すること。

このことが国際的発言力や外交力の向上をもたらし、結果として、

更なる経済力・安全保障力の強化につながる好循環を生み出す。


この2つの国家戦略の基盤となるのが「イノベーション」。

「イノベーション」とは、「新たな価値を生み出し、経済社会の大きな変化を創出する」

という広義の概念。


イノベーションの種を見い出すのは人、それをイノベーションへと導く発想をするのも人、

そして作り上げた技術をどのようにして社会的価値につなげていくのかを創造するのも人。

つまり我が国の国力を支えるのは「人」。


多くの努力と創造により生み出された新たな価値は、社会の発展のためにあるべきで決して悪用されてはならない。

学術的知識のみならず、価値判断を支える倫理や哲学を含めた人間力を培う「教育」こそがすべての根幹にある。

そしてこの図が出ています。


フランス革命前の「三部会」じゃないですが、「教育」はすべてを支える最下層の下僕扱いです。しかも、2022年2月に日本貿易会でおこなった小林氏の講演では、こんな図になっています。


経済と国防は一体化し、それに奉仕するのが「教育」というわけです。前述の「国立大学法人法改正案は大学教育の崩壊にとどまらず、近い将来に日本が再び戦争当事者国になる可能性につながる」は、小林鷹之氏の主張を考えると「あり得ます」。