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国立大学法人法改正が成立(6) 〜小林鷹之氏の考え

国立大学法人法改正が成立(1) 〜「日本が死んでいく」の意味
国立大学法人法改正が成立(2) 〜「法案可決までの異常なスピード感」
国立大学法人法改正が成立(3) 〜集英社オンライン記事へのヤフコメ
国立大学法人法改正が成立(4) 〜集英社オンライン記事2から
国立大学法人法改正が成立(5) 〜“稼げる大学法案”で学問の自由が失われる
国立大学法人法改正が成立(7) 〜戦前の国防教育を思い出す


前述の2022年2月16日に、日本貿易会でトップフォーラム「経済安全保障政策について」と題して小林鷹之氏がおこなった講演をみていきます。



この図を元にして、小林氏は以下のように主張しています。

このマトリクスの中で経済と安全保障が融合し、経済は経済、安全保障は安全保障と切り分けることが難しい時代を迎えていると認識している。

実はこのフォーラム講演で使われた経済と安全保障を一体化した図式は、小林鷹之氏の事務所サイトには出ていません(事務所サイトの図式は下図)。一般の有権者にそういう一歩進めた考えを持っていることを知られたくないからでしょうか?


経済安全保障大臣は、岸田政権になって初めて設置されたものだが、私自身はこの経済安全保障というものについて、2018年の後半から自民党内で議論を提起してきた。当時、日本の先端技術、重要技術が合法あるいは非合法の形でどんどん海外に流出していく状況に、ものづくり立国・日本の地位が低下していくのではないかと、強い危機感を抱いたのがきっかけである。

そして研究・技術に関して、以下の2点の施策を提唱しています。

外国政府等からの研究資金の受け入れの在り方


学問の自由やオープンイノベーションという大前提の下、留学生にもたくさん来ていただきたいが、一方でさまざまなリスクも顕在化しつつある。2021年末には、研究者に研究費等の公的資金を配分する際の透明性を確保するべく、ガイドラインを改定した。研究者に他にどの機関から資金を受け取っているかについて適切な情報開示を求めており、虚偽の申告に対してはペナルティーを設けている。


技術流出防止のための留学生・外国人研究者の受け入れの在り方


外為法では、安全保障上、極めて機微な技術が国境を越えて渡されるクロスボーダーの取引のみならず、国内の取引であったとしても居住者が非居住者に技術提供する場合、いわゆるみなし輸出として規制の対象としている。基本的に、非居住者は最終的に海外に出ていく方ということもあり、このような立て付けとなっているが、非居住者も国内に6ヵ月滞在すると自動的に居住者扱いとなり、外為法の管理の対象外となる。入国後6ヵ月が経過していても、外国政府の強い影響下にあるような者に対しては、みなし輸出管理の対象とすべく、2022年5月より新制度を適用する予定である。


「研究資金提供」「非合法な流出先」としてはどの国でもあり得るでしょうが、小林氏の念頭にあるのは主に中国でしょう。軍事的な脅威を高めつつあり、かつ技術開発の優位確保のためにさまざまな活動(非合法を含む)を強めつつある中国に対して、日本が警戒すべきなのは事実です。しかし、そのために「国立大学法人法」の改正をおこない、政府の大学統制強化を図ろうとするのはおかしい。


 第一に大学は、国防のために研究や技術開発をおこなっているのではないです。小林氏の図式をみると、教育は国防に奉仕すべしという強固な意思を感じます。逆に言うと、「国防に関係しない教育は切り捨て」とも言えます。工学・医学といった理科系の実学を偏重される一方、文学や芸術など軍事に役に立たない分野は真っ先に切り落とされることになるでしょう。そういうことをしたいなら、防衛省直轄の防衛大学校や防衛医科大学校があるんだからそちらでしていただきたい。


 今回の国立大学法人法の改正で、合議体設置をおこなおうとしているのは以下の大学です。


東北大学
東京大学
東海国立大学機構(名古屋大学・岐阜大学)
京都大学
大阪大学


この中で東大と京大を除くと、残りの3つの大学(東北大、名古屋大、大阪大)の特徴は、いずれも「理工学系が特に強い大学」であることです。同じく合議体設置が予定されている東工大と医科歯科大の合併体である東京科学大もこれら3大学に連なる大学といっていいでしょう。我が国の理工学系トップ大学の技術開発や秘密保持の監視を強化したいのが、今回の法改正の基盤でないかと私は思います。小林鷹之氏の政治思想が、色濃く反映されていると感じます。


 集英社オンライン記事のヤフコメにはこんな意見も出てましたが、とんだお門違いです。そんな利権漁りくらいだったら、可愛いものです。

なるほど2023/11/25(土) 14:49


また、利権強化ですかね。役人の天下り先と落選代議士の受け皿化でしょう。とにかく、国公立大学には金をたくさんだして、授業料を安くして優秀な学生を集める(金持ちのための大学ではなく)。優秀者な教員、研究者も金をだすことによって世界中から集めることでしょう。日本は資源がないのだから人材投資によって国が成り立つのだが、自民党と役人どもは国の行く末よりも自分たちのふところ具合しか考えていない。国が貧乏になれば、どんなに金をもっていてもあまり意味がないのがわからないのだろうか。日本がだめになればアメリカにでも金をもって移住するか。しかし価値のなくなった「円」はだめでしょうね。