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「独立の気概」根井雅弘 〜東から京大に行く人、エール送ります

「旧制高校物語」―難関大受験事情はここ100年以上ほぼ変わらず
慶応義塾の研究 〜医学部に内部進学できるのはどんな学生か?


日経夕刊の1面下のコラムは執筆者の一人として根井雅弘さんが担当しています。4月27日根井さんは大学生活について書いています。「最近の学生は、休日谷間でも出席がよい」確かにそうですね。自分が学生だったら、連休谷間なら勝手にfaire le pont(フランス語で「橋渡し」)で休みにしちゃいますが(笑)。


 根井先生は京大経済学部の教授です。「京大に来て驚いたのは、自転車通学が多いこと」。これ、ほんとにそうですね。まるで文化大革命の頃の北京みたいに、自転車で行き交う学生の多いこと。根井先生が「東京みたいに電車通学ならゆっくり本も読めるのに、自転車ではそれもできずもったいない」とか書いています。うーん、まあそうですけど通学時間が短くて済むなら下宿か図書館で読めばいいんでは?と思いました。根井先生は「今も関西からの進学者が多いが、もっと東から京都大学に進学してほしい」と書いています。その例として西田幾多郎に師事した三木清などを引いています。あれ?根井さんはもしかして東から来たのかな?と思って調べました。なんと慶應義塾高から早稲田大政経学部に進み、大学院時代を京大で送ったのですね。そうかあ。しかし塾高から早稲田政経とは変わってます。塾高でそういう経歴の成績なら、楽々慶應経済への内部推薦を受けられたでしょう。もしかして外部受験で、しかも第1目標は京大だったのかな?と思いました。根井先生は「京大には東大の分校でなく、「独立の気概」をもってほしい。そして教員も大変かもしれないが、東京の亜流でない京都らしい学問を進めてほしい。」と述べています。「独立の気概」なんていうと、すぐ思い出すのが福澤諭吉の「独立自尊」です。塾歌にも入ってますね。


 私も大いに賛成で、東京始め関東の学生には京大に進むことも是非考えて欲しい。前も書きましたが、東大・京大と並び称される日本の大学二大巨頭ですが、入試難易度に差があります。第二次大戦前の旧制高校は旧制大学とは独立ですが、一高は東京帝大、三高は京都帝大に進む学生が多かったです。その一高・三高が東大・京大に対応するとすれば、その難易度差が戦前から続いていました。勿論他の旧制ナンバースクールよりこの2校は群を抜いて難しかったですが、それでもその2校でこの頃から差があったのです。しかも東大は財政的に他の旧帝大より遥かに手厚い支援があります。現在だと東大は員数で割ると京大の2倍近い支援額です。そのような状況にありながらも、京大は意気を張りました。何と言っても湯川秀樹に始まり、ノーベル科学系3賞受賞者は京大が東大を大きく上回ります。また数学のフィールズ賞でも比肩しています。また西田幾多郎に始まる哲学の京都学派は過去のものになったとはいえ、今もその足跡があります。そして今西錦司に代表される生態学や関連領域の学問は、京大前総長の山極寿一先生に至るまで連綿と続いています。そうそう、山極先生は都立国立高の出身で、東から京大を目指した先鞭のひとりと言えましょうか。


 こんな個性的な大学はそうそうないでしょう。得てして体制になびきがちな東大よりも「独立の気概」を保とうとする京大の方が、特に若い人には魅力に感じられるのでないでしょうか。しかも入試を考えたら東大よりずっと「お得」ですぜ!言明しますが、入試偏差値は学力のある側面しか示していません。だって試験はあくまでも「人が考えた問題」だからで、自然界はそういう人智のさらに先にあります。従ってそれを探究する真の学力も、入試偏差値のさらに先にあるのです。大阪あたりの公立高などを京大でのさばらせておくのは、ほんと勿体ないです。


追記:肝腎なことを書き忘れていました。あなたも京大に入って京都に住めば、在学中立派な「京都人」です。「あの子、どうしてるかしら?心配だから見てくる。」とお母さんはいそいそと京都に向かいます。ところが子供のことなどほどほどに、桜見物とか京都観光してます。これうちだけのことかと思ったら、知る限り関東から京大に行ったひとの親御さんは皆同じ。親孝行も出来てバンザイ!